( ゜o゜) ページ17
「そうだね。別に君だけに決まった話じゃない。これまで、お嫁さんだろうとお婿さんだろうと、脈々と受け継がれて来た……いわば伝統みたいなものでさ。
伴侶は必ず、そういったスキルを身に付けないといけない。……暗殺されちゃうからね」
伴侶。
その言葉を少し嬉しく感じる。
多少は認めてくれてる……のかもしれない。
喜びも束の間、不穏な単語に驚いた。
暗殺、なんてされるような人達じゃ……………
「暗殺？命を狙われているんですか？
いったい何に？誰に？」
「ウチがいると都合の悪い連中だよ。例の水樹くんとか。…ほら、俺このあいだイギリスに乗り込んでいろいろやっちゃったからさ、そういう関連の人達に目をつけられる場合もあるんだよね」
こっちはハラハラして聞いてるのに、まるで昨日の晩御飯を話すみたいに、なんでもない様子の彼。……ていうかイギリス行ったんだ。婚姻破棄の為だっけ。
「後藤、こないだはどこから来たんだっけ？」
「ロシアですね。なかなか口の固い奴でしたが……宏紀様は流石でございました。直ぐに口を割りましたよ」
呼び出された後藤さんは琴葉の弟を褒める。
口を割る……ね、いったいどんな手を使ったんだか。
「スキルは隠れ蓑、権力は抑止力、力は武器。
生き残る為にやらないといけない。
俺達一族、この一門、その証みたいなもんだよ。
……このことは、君に機会ができたら話そうかな」
「………」
この時代、命を脅かされる心配はそれほどない。あの有名な、中身が高校生の身体は小学生の男の子の話でもない限り。
それを、日常的に、ずっと。
この人達は命を狙われて来たっていうの？
「じゃあ考えておいてね。
ちなみに、この条件を提示してクリアした上で俺達に縁談がくる。
……あの子の気持ちは尊重してあげたいけど、
まぁ、仕方ない時もあるんだよね。
例えばとんでもない権力持ちのボンボンとか」
ﾐｼｯ…………!!
「すみません、つい手が勝手に」
「……君のそういうところ嫌いじゃないよ」
ヒビが入った湯呑みをテーブルに置く。
弥生さんは、笑っていた。
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作者名：ラディ | 作成日時：2019年5月12日 22時
