卒業 《3》 ページ7
いつも倉庫の一階はバイクの整備場所で、
たくさんの男の人がいるけれど。
今日は、綺麗に片付けられたその場所の中央に
智くんをはじめとした現青龍と幹部の5人と、その後を継ぐ5人。
そして、それを囲むように私服姿のさまざまな年齢層の男女がチラホラいるのがわかる。
智くんたちや周りにいる大人は、それぞれが時々談笑していて。
次期幹部は直立不動で緊張しているように見えた。
「ごめん、遅くなって…終わっちゃった？」
智「今さっき」
「間に合わなかった…」
潤「大丈夫、大野さんは大野さんのままだったから( 笑 )」
と松潤くんが落胆気味の私をフォローしてくれる。
彼の呼び方が “リーダー” から “大野さん” に変わっていて。
引き継ぎが終わったことを実感した。
翔「くれはちゃんも来てくれたんだね。」
栗「うん、来ても良かった？」
翔「もちろん。来てくれなかったら俺の方からいこうと思ってたし。」
栗「…えっ なんで…」
と、気になる会話が櫻井くんと栗ちゃんの間でやりとりされているのに耳をすませていたら。
雅「ねぇ、姫君のAちゃんも来たことだし、あれ、始めない？」
と、相葉ちゃんがテンション高めに提案した。
和「椿さぁん、いつものお願いできます？」
とニノが言うと、
椿「もっちろーん、準備ばっちり！」
遠くの方で、ダンディなお兄さんと話していたかきわけ前髪の綺麗なお姉さんが、それに答えるようにウィンクをするのが見えた。
椿「ってことで、姫君ちゃん借りま〜す」
とヒールを鳴らしてやってきて。
目の前でニコッと笑ったかきわけ美女は、
私の手を掴み、いつもみんなが居た二階に続く階段へ歩いていく。
「えっ、なんですか、これ、どういう状況！？」
椿「大丈夫、襲わないから！」
「そういうことじゃなくて！」
突然のことに状況が飲み込めない。
雅「いってらっしゃぁい！」
和「楽しんで〜」
「楽しんでって何を！？栗ちゃん、助けて！」
と、親友に助けを求めるも。
櫻井くんに何かを耳打ちで吹き込まれたようで。
栗「ふふふ、待ってるね〜！」
と、お手をふりふり。
…裏切られた…
最後の頼みの綱である智くんは。
あまり見ない私の反応がツボにハマったらしく、
お腹を抱えて笑っている。
「ちょっ、何するか説明だけでもっ…」
という私の悲痛な叫びは、
椿さんがドアを閉める音で遮られた。
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作者名：KIRA | 作成日時：2018年11月26日 18時
