貸出審神者、ブラック本丸に放り込まれる (ページ5)

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　首を傾げられても、私だって詳細はよく知らない。
　母親は審神者で、審神者になるよう躾られては来たけど実際、審神者になれる素質がほとんど無かった。でも出来れば身近に居て欲しい両親の希望からこの部署に所属されたのが私。まだ女子高生なんですけど？働くの早くない？
　私が働くことに反対してたの、両親じゃなくて他の刀剣男士達だったんだけど。過保護度も他の刀剣男士達の方が高かったんだけど。なんだかんだ放任主義っぽい両親だな？

「まあつまり、事前情報無かったんですけど。次の主が見つかるまでの間の仮主です、ここの」

　せめてブラックかどうかの情報は欲しかったよね〜？

　今更のこのこ帰る訳にも行かないから、ある程度立て直すまではここで暮らすことになるだろう。そういう部署だ。ブラック本丸は初めてだけど、そう教えられた。まあブラック本丸に行って帰ってきた人知らないんですけどね〜！？

「主は、……主は、もういらない」
「そう言われましても……。ねえ鶴丸国永さん、とりあえず手入れしませんか？」
「受けると思うか？」
「いや思ってないですけど、痛そうなんで」

　ぱっと見ただけでボロボロなのがわかるぐらい負傷しているのだから、きっと立っているのだってつらいはずだ。
　真っ白なはずの衣装は黒く汚れているし、所々赤黒くもなっているからそれは誰かの――もしくは彼本人の血液だろう。刀剣男士に失血死という概念が無いのは知っているけれど、やっぱり痛そうだ。というか正直、見てるこっちが嫌だから手入れだけでもさせてくれ……！
　奥に座って様子を伺っている刀剣男士達だってものすごく痛そう。中には座っている事すら苦痛で仕方がないのか横になっている者だっているのに。人間が、もしくは審神者という存在が信用ならないのだとしても優先順位はあるだろうに。
　生まれが生まれだから私は流血沙汰なんて見慣れてるけどさぁ……。私にだって人の心ぐらいあるし。

「えぇと、とりあえず全員手入れを受ける気は無い、ということで合ってますか？私暫く帰れないんで、ここに置いてもらう事になるんですけど」
「帰れ」
「帰れないんですってば～！私だって帰りたい……できることなら帰りたい……」

　なんでこんなところにいるんだろう。訳わかんない！私は平和な本丸で暫く維持するだけの仕事をしてたはずなのに！！こんなの聞いてないよ！？

　理不尽な状況に泣きたくなってきた。そこそこメンタルは強く育ってきたと自負していたけれど、こんな状況はあんまりだ。あんまりだ！！