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六話 ページ9







ウタが歌い、いつの間にか全員が眠ってしまう。

先程まで見ていた風景が脳裏に残っていて、もしかしてあれは夢だったのかな?と不思議に思う。

でも何だか心地よかったからまぁ良いかと、ウタを褒めながらアンコールを叫ぶ。


また別の日、ウタが歌って皆が眠り、その後ウタを褒める。また別の日も、別の日も、別の日も。


ウタが羨ましくて、一度だけ歌ったことがある。

突然の事に皆は驚いたけれど、ウタだけは大喜びだった。一曲歌い終えると、拍手が鳴り響いて皆が「オトも歌えたんだなぁ」と感心しながら頭を撫でてくれる。


嬉しい。けど、何かが足りない。


ウタと同じように褒めたはずなのに、どうしても満たされたように感じなかった。


――あぁ、そうか。アンコールが無いんだ。



「A、一緒に歌おうよ!」



ウタに誘われて、一度だけデュエットをした。
ウタがメインで私はコーラス。


すると先程でぽっかりと空いていた穴が徐々に満たされ、視界が明るく眩く輝いていく。ウタが歌って、私も歌って、皆の表情はさらに笑顔になっていく。


あぁ、心地良い。


デュエットを終えると、再び船上が拍手喝采で包まれる。船員の中には「アンコール!」と叫ぶ人もいる。


瞬間、先程までの心地良さは消え、まるで冷水を浴びたように急速に私の頭は冷えていった。


ウタが歌った時と、私が歌った時、そして二人で歌った時。明らかに賞賛の質が高かったのは、いずれもウタが歌った時だった。


そうか、私とウタでは根本的に才能が違うのだと、ウタは音楽の神様に愛されてる子なんだと、幼いながらに理解した。

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マシロ_mashiro(プロフ) - 太陽さん» コメントありがとうございますm(*_ _)m 大学生活も落ち着いてきたのでまた書き始めました。ゆっくりではありますが更新頑張ります! (4月12日 9時) (レス) id: 664df39994 (このIDを非表示/違反報告)
マシロ_mashiro(プロフ) - ぴよラムネさん» コメントありがとうございます!こちら白ひげ海賊団ルートとはまた一味違った海軍ルートとなっております。なるべく早く更新出来るよう頑張ります! (4月12日 9時) (レス) id: 664df39994 (このIDを非表示/違反報告)
ぴよラムネ(プロフ) - コメント失礼しますー!私を見て欲しかったを読みたくなって探してたらこの作品に出会いました!!別ルートがあったなんて…!更新頑張ってください!続き楽しみにしてます!! (4月12日 0時) (レス) id: 4c4725f70b (このIDを非表示/違反報告)
太陽(プロフ) - 更新されてる!!めっちゃ待ってました(●´ω`●)更新がんばってください! (4月12日 0時) (レス) @page36 id: 18ff82607c (このIDを非表示/違反報告)
マシロ_mashiro(プロフ) - シアナさん» コメントありがとうございます!大変お待たせしてしまってすみません。ストックが少ないので前より更新ペースは落ちますが、これからも本作品をよろしくお願いします(*´▽`*) (4月11日 21時) (レス) id: 664df39994 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:マシロ_mashiro | 作者ホームページ:http:  
作成日時:2023年9月3日 16時

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