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四十一話 ページ44







突然の事で向こうも驚いたのか、コラっと慌てて私を引き剥がそうとする。私も負けじと腕の力を強めて抵抗する。



「置いてかないで…!」

「…」



勢いのままに置いていくなと叫ぶ。するとクザンさんの私を掴む手が僅かに緩んだ。


顔は見えない。あの人が何を思っているのか想像もつかない。けど、足を掴むこの腕だけは絶対に離すまいと更にぎゅうと力を強める。

互いに何も言わぬまま膠着状態が続く。



「……はァ。分かった、分かったから。とりあえずほら、一旦離してくんない?」



先に折れたのはクザンさんだった。
大きなため息をつき、降参と私から大きな手を離す。つられて私も体を離し、続けてあの人を見上げようとする。


…さっきから分かってはいたものの、やはり大きい。お爺さんやシャンクスと比べても1.5倍程はありそうな巨体。足元から顔色を伺おうにも腰辺りまでしか見えない。何メートルあるんだろう。


仕方が無いので大きく2.3歩下がり、再び顔を見上げる。
呆れたよう顔をしていた。そして、酷く面倒そうな顔。今にも逃げ出したいそうなので釘を刺しておく。



「捨てない?」

「…何をよ」

「私」

「はぁ?捨てるも何も……あーいや、分かった。捨てねぇよ」



‘‘訳ありの子供を助けた(拾った)んだからその責任取りやがれ’’という意味を込めてクザンさんの目を見据えれば、遂に反論の気力も失ってしまったらしい。「分かったから」 と肯定の言葉を何度も繰り返す。


ここまで言えば連れて行ってくれるだろうとほっと一息つく。良かったぁ…と安心したところ、クザンさんは片手を上げてヒラヒラと振りながら一言。



「じゃ、また後で」

「え」



前言撤回。全く安心出来なかった。

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マシロ_mashiro(プロフ) - 太陽さん» コメントありがとうございますm(*_ _)m 大学生活も落ち着いてきたのでまた書き始めました。ゆっくりではありますが更新頑張ります! (4月12日 9時) (レス) id: 664df39994 (このIDを非表示/違反報告)
マシロ_mashiro(プロフ) - ぴよラムネさん» コメントありがとうございます!こちら白ひげ海賊団ルートとはまた一味違った海軍ルートとなっております。なるべく早く更新出来るよう頑張ります! (4月12日 9時) (レス) id: 664df39994 (このIDを非表示/違反報告)
ぴよラムネ(プロフ) - コメント失礼しますー!私を見て欲しかったを読みたくなって探してたらこの作品に出会いました!!別ルートがあったなんて…!更新頑張ってください!続き楽しみにしてます!! (4月12日 0時) (レス) id: 4c4725f70b (このIDを非表示/違反報告)
太陽(プロフ) - 更新されてる!!めっちゃ待ってました(●´ω`●)更新がんばってください! (4月12日 0時) (レス) @page36 id: 18ff82607c (このIDを非表示/違反報告)
マシロ_mashiro(プロフ) - シアナさん» コメントありがとうございます!大変お待たせしてしまってすみません。ストックが少ないので前より更新ペースは落ちますが、これからも本作品をよろしくお願いします(*´▽`*) (4月11日 21時) (レス) id: 664df39994 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:マシロ_mashiro | 作者ホームページ:http:  
作成日時:2023年9月3日 16時

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