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三十六話 ページ39







全ての質問に対する回答を聞いて、そんなことを考えて……はたと気づく。

両親探しの前、この人、何と言った?

‘‘ここは海軍の船に設備されている医務室だ’’と言ってはいなかっただろうか?


――海賊に襲われていた身元不明の子供。保護者に関する情報は全くなく、本人からも情報は得られそうにないため身寄りなし。

ここから得られる結論は一つしかない。


そんなことさせてたまるもんかと抗議の口を開こうとした瞬間――船が、大きく揺れる。

海賊船で長く過ごしていた私は直感で揺れの正体が錨を上げて船が出港しようとしているものだと判断する。



「な、何で船が……」



海兵さんは「あー…」と何か言葉を考えるように唸ると、再び私の体を長い長い腕でひょいと持ち上げた。



「とりあえず、お嬢ちゃんの身元が分からねェから一旦近くの海軍本部に行くぞ」

「……え?」

「身元が分かるまで託児所で保護な。あと医務室でちゃんと怪我見てもらえ」

「いや、ちょっ待っ、待って!」



今、この人は何と言った?海軍本部に連れて行く?誰を?私を?

――それは、ダメだ。

海軍本部(・・)ってことは恐らく海軍の親玉が居る所に違いない。つまり、海賊である赤髪海賊団は絶対に来れない場所ということだ。

そんなところに私が行けばどうなる?
…簡単には、皆の所に戻れなくなる。

身分を偽って迎えに来てくれる可能性はあるけれど、シャンクスって有名人みたいだし、髪色とかが目立つから変装も期待できない。


だから、絶対に海軍本部に連れて行かれちゃダメだなのだ。何としてでもここで解放されなくちゃいけない。

早く皆と合流するために、どうにかして出ていく許可を貰おうとそれっぽい理由をつらつらと並べていく。



「あの、ほら、もしかしたらすぐそこに知り合いがいるかもしれないから…だから、私はもう大丈夫で、あの、か、帰るから」

「お嬢ちゃんには悪ぃが船はもう出港しちまってる。諦めな」

「うぅ…」



交渉は失敗した。

逃げるように視線を海兵さんから小窓へと移すと、徐々に遠くなるシャボンディ諸島が目に入る。


本来なら今頃シャンクスが手にいっぱいの荷物を抱えて、ウタは満足層に顔をほころばせ、それに呆れた私が‘‘またベックに怒られるよ’’と苦笑するはずだった。だけど、もう…。


――あぁ。もう、手遅れだ。

それは赤髪海賊団との再会を諦める決定打となり、私は渋々海兵さんに保護されることになった。

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チョコレヱト(プロフ) - マシロさんのことを陰ながら応援させていただきます。続き楽しみに待ってます!!(一部誤字がありますが気にしないで下さい) (3時間前) (レス) id: f5508b36bf (このIDを非表示/違反報告)
チョコレヱト(プロフ) - 初めまして!初見ですがコメント失礼します。先に読ませていただいたのはこちらの作品なのですが、その後すぐにマルコさんルートも一気読みしました!字数が入らなくてなるので一言で言いますが、どちらも凄く好きになりました! (3時間前) (レス) id: f5508b36bf (このIDを非表示/違反報告)
マシロ_mashiro(プロフ) - 太陽さん» コメントありがとうございますm(*_ _)m 大学生活も落ち着いてきたのでまた書き始めました。ゆっくりではありますが更新頑張ります! (4月12日 9時) (レス) id: 664df39994 (このIDを非表示/違反報告)
マシロ_mashiro(プロフ) - ぴよラムネさん» コメントありがとうございます!こちら白ひげ海賊団ルートとはまた一味違った海軍ルートとなっております。なるべく早く更新出来るよう頑張ります! (4月12日 9時) (レス) id: 664df39994 (このIDを非表示/違反報告)
ぴよラムネ(プロフ) - コメント失礼しますー!私を見て欲しかったを読みたくなって探してたらこの作品に出会いました!!別ルートがあったなんて…!更新頑張ってください!続き楽しみにしてます!! (4月12日 0時) (レス) id: 4c4725f70b (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:マシロ_mashiro | 作者ホームページ:http:  
作成日時:2023年9月3日 16時

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