三十五話 ページ38
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そうして、何秒か意識を整えた後改めて海兵のお兄さんを見上げると、海兵さんの訝しむような視線が交わる。
再びドキンと心臓が跳ねる。けれども笑顔は絶対に崩さない。
海兵さんの視線から逃れたくて、誤魔化すように疑問を投げかける。
「その…海兵さんは、さっき助けてくれた海兵さん?」
「まぁ、そんなとこだ」
「そっか…えっと、ありがとう…ございます?」
慣れない敬語で助けてくれたお礼を言えば、「餓鬼がいちいち細かいこと気にすんな」といったような言葉を返され、軽く頭を叩かれる。
久しぶりにされたソレは案外心地良く、少し恥ずかしいけれど悪い気はしなかった。
「なら次は…」
この際全部聴いてしまえと思い、気絶する前、そしてその後について海兵さんに尋ねてみる。
何故見ず知らずの私を助けてくれたのか。
ここは一体何処なのか。
私が気絶したあとどうなったのか。
一度に質問してしまって後からしまったと後悔するけれど、海兵さんは見た目に反して思いの外親切だったようで、ひとつひとつ丁寧に教えてくれた。
私を助けた理由は自分が海兵だからで、それ以上でもそれ以下でも無いということ。
ここはシャボンディ諸島の港に停めてある海軍の船の医務室で、私が気絶した後に治療や検査をするために連れて来たこと。
私を医務室に寝かせた後は保護者を探してくれていたこと。
「残念だがお前さんの保護者は見つからなかった。念の為他の海兵にも探すようでんでん虫で連絡はしたが……そういうこった」
海兵さんが仲間に協力を要請してから今に至るまで何も連絡がないということは、何も進展が無かったということだ。それが幸か不幸かは分からない。
けど、そうなるのは初めから分かっていた。
私の本当の両親は生死不明で、私とウタが海賊戦の宝箱に入っていた事実から推測するにすでに海賊に殺されている可能性が高い。だからこの島に居もしない両親なんて見つかるはずがない。
加えて私は赤髪海賊団では娘として扱われている。
シャンクスもああ見えてかなり有名人――もちろん悪い意味でだが――なので、まさかそんな海賊の娘とは思わないだろう。ましてあの船に女性は居ないのだから。
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チョコレヱト(プロフ) - マシロさんのことを陰ながら応援させていただきます。続き楽しみに待ってます!!(一部誤字がありますが気にしないで下さい) (1時間前) (レス) id: f5508b36bf (このIDを非表示/違反報告)
チョコレヱト(プロフ) - 初めまして!初見ですがコメント失礼します。先に読ませていただいたのはこちらの作品なのですが、その後すぐにマルコさんルートも一気読みしました!字数が入らなくてなるので一言で言いますが、どちらも凄く好きになりました! (1時間前) (レス) id: f5508b36bf (このIDを非表示/違反報告)
マシロ_mashiro(プロフ) - 太陽さん» コメントありがとうございますm(*_ _)m 大学生活も落ち着いてきたのでまた書き始めました。ゆっくりではありますが更新頑張ります! (4月12日 9時) (レス) id: 664df39994 (このIDを非表示/違反報告)
マシロ_mashiro(プロフ) - ぴよラムネさん» コメントありがとうございます!こちら白ひげ海賊団ルートとはまた一味違った海軍ルートとなっております。なるべく早く更新出来るよう頑張ります! (4月12日 9時) (レス) id: 664df39994 (このIDを非表示/違反報告)
ぴよラムネ(プロフ) - コメント失礼しますー!私を見て欲しかったを読みたくなって探してたらこの作品に出会いました!!別ルートがあったなんて…!更新頑張ってください!続き楽しみにしてます!! (4月12日 0時) (レス) id: 4c4725f70b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:マシロ_mashiro | 作者ホームページ:http:
作成日時:2023年9月3日 16時