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二十八話 ページ31







呆れられるだろうか。見放されるだろうか。

ただでさえ私は‘‘お姉ちゃん’’という役目しかないのに、それすらも果たすことが出来なかったら…それを名乗る価値すらも無くなったら、私は…っ。



「…急に大人しくなりましたね」

「ったく、散々暴れやがって…おい!赤髪の動向を探ってこい。こっちの準備が整う前にここがバレりゃ流石に太刀打ち出来ねェ」

「なぁ船長、俺ら最近溜まってんだよ。どうせ最終的には殺すんだ、多少は…いいだろう?」

「ケッ、好きにしろ」

「さっすが船長!!さぁて、何も知らないお嬢ちゃんに俺らが大人ってもんを教えてやんよ」



暗闇の中、突然スカートに手が触れた。

誰に触られてるのかすら分からない。けど、とにかく気持ち悪いという感情だけが渦巻いて、私は再び抵抗をし始める。



「へへ、無駄無駄。大人には勝てねーんだよ」

「うぅ…っいや、だぁ!」



けど、少女と大人、しかも海賊。どう考えても力はあちらの方が優勢だった。


せめて手が使えれば…!

何も見えない中得体の知れない男にベタベタと体を触られて、不快感と共に先程まであった恐怖がもう一度のし上がってくる。



気持ち悪い、気持ち悪い、気持ち悪い。
嫌だ、嫌だ、嫌だ。



「っ、シ…――。…れか」

「あぁ?」



私は無理やり恐怖を押さえつけて、思いっきり空気を吸い込み…_そして、叫んだ。



「誰か…誰か助けてぇーーーッ!!」


「!? この餓鬼、急に、」

「黙りやがれ!」



シャンクスに幻滅されたくなかった。

使えない奴だと、何の役目もない私は必要ないと、船から下ろされて捨てられるのが怖かった。


もちろん、シャンクスを含めた全員がそんな事するはずがないというのはこの六年間でわかっていた。


分かっていたけれど、でも、あの日あの時海賊として他者を殺し、他者を赤く染め、自らもその血を被る海賊本来の姿を見てからはその不安が拭えなくなっていった。


怖かった。正確には怖くなった。

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マシロ_mashiro(プロフ) - 太陽さん» コメントありがとうございますm(*_ _)m 大学生活も落ち着いてきたのでまた書き始めました。ゆっくりではありますが更新頑張ります! (4月12日 9時) (レス) id: 664df39994 (このIDを非表示/違反報告)
マシロ_mashiro(プロフ) - ぴよラムネさん» コメントありがとうございます!こちら白ひげ海賊団ルートとはまた一味違った海軍ルートとなっております。なるべく早く更新出来るよう頑張ります! (4月12日 9時) (レス) id: 664df39994 (このIDを非表示/違反報告)
ぴよラムネ(プロフ) - コメント失礼しますー!私を見て欲しかったを読みたくなって探してたらこの作品に出会いました!!別ルートがあったなんて…!更新頑張ってください!続き楽しみにしてます!! (4月12日 0時) (レス) id: 4c4725f70b (このIDを非表示/違反報告)
太陽(プロフ) - 更新されてる!!めっちゃ待ってました(●´ω`●)更新がんばってください! (4月12日 0時) (レス) @page36 id: 18ff82607c (このIDを非表示/違反報告)
マシロ_mashiro(プロフ) - シアナさん» コメントありがとうございます!大変お待たせしてしまってすみません。ストックが少ないので前より更新ペースは落ちますが、これからも本作品をよろしくお願いします(*´▽`*) (4月11日 21時) (レス) id: 664df39994 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:マシロ_mashiro | 作者ホームページ:http:  
作成日時:2023年9月3日 16時

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