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二十六話 ページ29







…見られていた。


下っ端らしき人が私についての情報を報告すると、見えなくてもわかるほど船長の雰囲気がピリッと変わった。

無知な私でも理解出来た。
きっとこの人は、私に利用価値を感じたんだろう。



「くっ……はは、はは。そりゃァ良い!!!」



その証拠に船長は心底愉快そうに高笑いをし、私の襟首を掴んで軽々と持ち上げた。



「赤髪に娘とはなァ!!」



『あァ?ンな所に餓鬼だァ?』



「――ぁ」



重なる。

あの時のアカ(・・)が、目隠しで何も見えるわけがないはずの視界に浮かぶ。



「おい!赤髪の懸賞金はいくらだ!?」

「10億4千万ベリーです」

「10億!こんな餓鬼一人でも人質にすりゃァ上手く行きゃそれだけの大金が手に入る!!」



『ヒヒッ、赤髪海賊団に餓鬼がいるとは思わなんだ。人質にすりゃァあのクソどもにも…』



いや、違う。
これから赤く染まるのは…わた、し?



「――っ!」



途端、とてつもない恐怖が私を襲った。


それは訪れるかもしれない死に対するものなのか、はたまた海賊に対するものなのか。あるいは、家族同然の船員クルーと離れ離れになってしまった孤独によるものなのか。


パニック障害に陥った今の私には理解出来なかった。



「嫌、離してッ!!」



ただ恐怖に溺れる感覚から逃げたくて、嫌なことから目を逸らすように船長の腕から逃れようと必死でもがいた。

見えなくても、手足が動かせなくても、体をくねらせることぐらいは出来た。


必死に体を動かして、叫ぶ。
恐怖を紛らわすように、抵抗する。


海賊に囲まれた中でそんな事をすればどうなるか、少し冷静になればわかったことだったのに。



「ッチィ、いい加減にしろこの糞ガキ!!」

「っきゃぁ!」



痺れを切らした船長は抵抗をやめない私を乱暴に放り投げ、私は床に強く打ち付けられてそのまま転がってしまう。


全身が痛い…でも、どうにかして逃げないと……じゃないと――



――シャンクスに迷惑をかけちゃう(・・・・・・・・・・・・・・)…!

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マシロ_mashiro(プロフ) - 太陽さん» コメントありがとうございますm(*_ _)m 大学生活も落ち着いてきたのでまた書き始めました。ゆっくりではありますが更新頑張ります! (4月12日 9時) (レス) id: 664df39994 (このIDを非表示/違反報告)
マシロ_mashiro(プロフ) - ぴよラムネさん» コメントありがとうございます!こちら白ひげ海賊団ルートとはまた一味違った海軍ルートとなっております。なるべく早く更新出来るよう頑張ります! (4月12日 9時) (レス) id: 664df39994 (このIDを非表示/違反報告)
ぴよラムネ(プロフ) - コメント失礼しますー!私を見て欲しかったを読みたくなって探してたらこの作品に出会いました!!別ルートがあったなんて…!更新頑張ってください!続き楽しみにしてます!! (4月12日 0時) (レス) id: 4c4725f70b (このIDを非表示/違反報告)
太陽(プロフ) - 更新されてる!!めっちゃ待ってました(●´ω`●)更新がんばってください! (4月12日 0時) (レス) @page36 id: 18ff82607c (このIDを非表示/違反報告)
マシロ_mashiro(プロフ) - シアナさん» コメントありがとうございます!大変お待たせしてしまってすみません。ストックが少ないので前より更新ペースは落ちますが、これからも本作品をよろしくお願いします(*´▽`*) (4月11日 21時) (レス) id: 664df39994 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:マシロ_mashiro | 作者ホームページ:http:  
作成日時:2023年9月3日 16時

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