二十二話 ページ25
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『二人共、俺の自慢の娘だ』
昔、私達の誕生日にそう言ってもらった事がある。あの時は本当に嬉しくて、「私も大好き!」とシャンクスに抱きついたのを覚えている。
最後に「俺の娘」と言ってくれたのはいつだろう。これまで何度「ウタのお姉ちゃん」と言われてきただろう。
『私はウタ。シャンクスの娘で、赤髪海賊団の音楽家!』
私はウタのお姉ちゃん、それは間違いない。
けど、ウタのようにシャンクスの娘と宣言する勇気はなかった。
いや、勇気というのは少し違うかもしれない。…そうだ、自信が持てないんだ。
ウタはシャンクスに憧れ、また娘である事を名乗るのに誇りを持っていた。
そんなウタが羨ましくて。
私もウタみたいに‘‘音楽家’’のような何かが欲しかった。いつも皆の中心なウタみたいになりたかった。
でも私は、ウタのお姉ちゃんだから。姉としての役目を果たす事が、この船で私のするべきことだから。だから、私は…
私はA。赤髪海賊団の――
…私って、一体何なんだろう。
――カチャリ、と。金属の音がした。
何だろうと後ろを振り向いて…_振り向こうとした瞬間、後頭部に固いものが押し付けられる。それが銃だと理解した瞬間、体が石のように動かなくなった。
抵抗すれば殺されると、頭の隅で理解する。
「おい、早くしろ」
「わーってるよ。大人しくしろよ?餓鬼ィ」
恐らく銃を突きつけているである男と、その協力者であろう人物の会話が聞こえる。
二人で話している隙に逃げれないかな、なんて無謀な考えが一瞬頭をよぎる。
「――っ!?」
けれど、突然口元に布を当てられて思考を現実に戻される。
お前は逃げられないと告げるように、咄嗟に反射で逃げようとした私の体を押さえつけられる。
せめて誰かに助けを求めようと街路の方へ手を伸ばす。けど、誰も気付いてくれない。
いや違う。気付いているけれど、関わってはいけないとわざと見て見ぬふりをしている。
「いや……たすけ、てぇ……ッ」
だんだんと暗闇が迫ってくる。
音も徐々に消えて、やがて無音の世界に放り出される。
最後に脳裏に浮かんだのは、ウタでもなく、シャンクスでもなく、他の
『――ギィァあ゛あ゛ァ゛ッッ!?』
――あの時のアカだった。
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マシロ_mashiro(プロフ) - 太陽さん» コメントありがとうございますm(*_ _)m 大学生活も落ち着いてきたのでまた書き始めました。ゆっくりではありますが更新頑張ります! (4月12日 9時) (レス) id: 664df39994 (このIDを非表示/違反報告)
マシロ_mashiro(プロフ) - ぴよラムネさん» コメントありがとうございます!こちら白ひげ海賊団ルートとはまた一味違った海軍ルートとなっております。なるべく早く更新出来るよう頑張ります! (4月12日 9時) (レス) id: 664df39994 (このIDを非表示/違反報告)
ぴよラムネ(プロフ) - コメント失礼しますー!私を見て欲しかったを読みたくなって探してたらこの作品に出会いました!!別ルートがあったなんて…!更新頑張ってください!続き楽しみにしてます!! (4月12日 0時) (レス) id: 4c4725f70b (このIDを非表示/違反報告)
太陽(プロフ) - 更新されてる!!めっちゃ待ってました(●´ω`●)更新がんばってください! (4月12日 0時) (レス) @page36 id: 18ff82607c (このIDを非表示/違反報告)
マシロ_mashiro(プロフ) - シアナさん» コメントありがとうございます!大変お待たせしてしまってすみません。ストックが少ないので前より更新ペースは落ちますが、これからも本作品をよろしくお願いします(*´▽`*) (4月11日 21時) (レス) id: 664df39994 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:マシロ_mashiro | 作者ホームページ:http:
作成日時:2023年9月3日 16時