二十一話 ページ24
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ウタは当然として、私達にはこの船に乗る以前の記憶が全くない。だから両親のことも故郷のことも、本当の名前も、何も知らない。
私にとって赤髪海賊団が家族で、レッドフォース号が私の家。
父親は……多分、シャンクス。船長だし。
けど、私達はシャンクスをお父さんと呼んだ事がない。ウタは‘‘シャンクスは父親であり、憧れの船長だから’’と言っていたけど、私は違う。
私はシャンクスに対して…というより、海賊に憧れが無い。むしろ、あの時の出来事で恐怖の対象になっていた。
赤髪海賊団は市民を傷つけたり、金銀財宝を盗んだりしないけど、そういう海賊は少数派で、大半は本で見たような悪い人達の集まり。
だから私は、どちらかと言えば海賊よりも悪い人達をとっ捕まえる海兵さんに憧れがある。
じゃあそれが理由なのかと聞かれれば、分からないと答えるしかない。
正直、きちんとした理由なんてなかった。ただぼんやりと、お父さん呼びじゃないよなぁと、そんな漠然とした理由で。
ただ、強いて言うなら…
…シャンクスに、父親という実感が持てなかった。
「ねぇお母さん、抱っこして!」
「もう、仕方ないわね。いつまでも甘えん坊さんなんだから」
「きゃ〜」
先程の親子を見れば、少女が母親に抱っこをお願いしている様子が目に入る。
あんな風に、最後にシャンクスとふれあい遊びをしたのはいつだっただろうか。
ウタが肩車をして貰ってるのはよく見かけるけど、私は大抵部屋でベックに文字を教えて貰っている。
でも良いの。
文字の読み書きを勉強したいって言い出したのは私だし、皆だって反応の薄い私より大袈裟に喜ぶウタの方が良いはず。
私はお姉ちゃんだから、妹に譲ってあげなきゃいけないもんね。
「ママ、この絵本買ってー!」
「ふふ、もちろん良いわよ。じゃあ、今日の読み聞かせはこれにしようかな?」
「本当?やった〜!」
最後にシャンクスに読み聞かせをして貰ったのはいつだっただろうか。
昔はウタと二人でせびっていたけれど、ここ二・三年はウタに独占されている。
ウタに‘‘これは自分の物’’という意識が芽生えてから二人で一つの物を共有するが無くなり、物もシャンクスも、そして読み聞かせも独占するようになっていった。
でも大丈夫だよ。自分で文字をお勉強すれば一人で本を読めるから。
私はお姉ちゃんだから、我慢出来なきゃいけないもんね。
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マシロ_mashiro(プロフ) - 太陽さん» コメントありがとうございますm(*_ _)m 大学生活も落ち着いてきたのでまた書き始めました。ゆっくりではありますが更新頑張ります! (4月12日 9時) (レス) id: 664df39994 (このIDを非表示/違反報告)
マシロ_mashiro(プロフ) - ぴよラムネさん» コメントありがとうございます!こちら白ひげ海賊団ルートとはまた一味違った海軍ルートとなっております。なるべく早く更新出来るよう頑張ります! (4月12日 9時) (レス) id: 664df39994 (このIDを非表示/違反報告)
ぴよラムネ(プロフ) - コメント失礼しますー!私を見て欲しかったを読みたくなって探してたらこの作品に出会いました!!別ルートがあったなんて…!更新頑張ってください!続き楽しみにしてます!! (4月12日 0時) (レス) id: 4c4725f70b (このIDを非表示/違反報告)
太陽(プロフ) - 更新されてる!!めっちゃ待ってました(●´ω`●)更新がんばってください! (4月12日 0時) (レス) @page36 id: 18ff82607c (このIDを非表示/違反報告)
マシロ_mashiro(プロフ) - シアナさん» コメントありがとうございます!大変お待たせしてしまってすみません。ストックが少ないので前より更新ペースは落ちますが、これからも本作品をよろしくお願いします(*´▽`*) (4月11日 21時) (レス) id: 664df39994 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:マシロ_mashiro | 作者ホームページ:http:
作成日時:2023年9月3日 16時