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十五話 ページ18







「ただいまー!!」



夕日が沈み辺りが月明かりで照らされ始め、そろそろ何か口にしようかとドアノブに手をかけた時、ウタの大声と同時にたくさんの足音が聞こえた。

ウタの声はとても上機嫌で、相当楽しかったのだろう。


…そんな中、こんな状態の私が外に出れば、ウタを悲しませてしまう。



「……」



__ペチン。

両頬を軽く叩き、己を律する。続いて姿見の前に移動しニコッと笑顔を作る。


…うん、良い笑顔。これなら大丈夫だろう。

ふぅ、と息を吐いて深呼吸。これを何度か繰り返し、気持ちが落ち着いたところで今度こそ扉をあける。



「おかえり」

「A、もう大丈夫なの?」

「うん。心配かけてごめんね」

「ううん、それよりAが元気になって良かったぁ」



最初にウタが私に気づき、安堵の声を漏らす。次にベック、ホンゴウと他の船員が次々に私に声をかけてくる。
パッと見元気そうな私に安心したのか、すれ違い様に頭を撫でられる。

久しぶりの子供扱い。…嫌な気にはならなかった。



「もう大丈夫なのか??」



その声を聞いた瞬間、思わず表情が強ばってしまった。



「A?」

「ぁ…だ、大丈夫だよ。シャンクス」



――赤がチラつく。

久しぶりに顔を合わせたシャンクスの髪は、こんなに鮮やかな赤だっただろうか。


赤が視界に入る度に、徐々に体温を失っていく海賊の姿が脳裏に浮かぶ。傷口から真っ赤な血が溢れて、人が地面に倒れる音と流れる血が床を埋めつく光景。

それらが、シャンクスによって引き起こされる。


思わず額を押さえる。心做しか足元もふらついている気がした。



「そうか?顔色が悪そうだが…」



明らかに動揺している私を見たシャンクスは私の目線に合わせてしゃがむと、様子を確かめるように頭に手を伸ばした。

何も無いはずのその手が、血で汚れているように見えて。自分も殺されてしまうのではないかと、ありもしない錯覚に襲われてしまって。

一歩後ろに下がり、誤魔化すように口を開いた。



「それ、は…」

「…」

「…私、ちょっと疲れたから休むね!」

「は?おい!」



無理矢理会話を終わらせ、逃げるように部屋に入る。扉の鍵をかけ、扉の前に箱を一つ置いて誰も入って来れないようにする。

まぁ、シャンクス達大人からすればなんてことないのかもしれないけれど、私なりの抵抗だった。


シャンクス達が怖い。
海賊が怖い。赤が怖い。


恐怖。ただそれだけが、私を苦しめた。

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マシロ_mashiro(プロフ) - 太陽さん» コメントありがとうございますm(*_ _)m 大学生活も落ち着いてきたのでまた書き始めました。ゆっくりではありますが更新頑張ります! (4月12日 9時) (レス) id: 664df39994 (このIDを非表示/違反報告)
マシロ_mashiro(プロフ) - ぴよラムネさん» コメントありがとうございます!こちら白ひげ海賊団ルートとはまた一味違った海軍ルートとなっております。なるべく早く更新出来るよう頑張ります! (4月12日 9時) (レス) id: 664df39994 (このIDを非表示/違反報告)
ぴよラムネ(プロフ) - コメント失礼しますー!私を見て欲しかったを読みたくなって探してたらこの作品に出会いました!!別ルートがあったなんて…!更新頑張ってください!続き楽しみにしてます!! (4月12日 0時) (レス) id: 4c4725f70b (このIDを非表示/違反報告)
太陽(プロフ) - 更新されてる!!めっちゃ待ってました(●´ω`●)更新がんばってください! (4月12日 0時) (レス) @page36 id: 18ff82607c (このIDを非表示/違反報告)
マシロ_mashiro(プロフ) - シアナさん» コメントありがとうございます!大変お待たせしてしまってすみません。ストックが少ないので前より更新ペースは落ちますが、これからも本作品をよろしくお願いします(*´▽`*) (4月11日 21時) (レス) id: 664df39994 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:マシロ_mashiro | 作者ホームページ:http:  
作成日時:2023年9月3日 16時

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