十話 ページ13
・
あれから数日が経ち、望遠鏡を覗けばシャボンディ諸島が見えるぐらいの距離になった時だった。
｢お頭！九時の方向に海賊船が！｣
私達二人は、シャンクス達が海賊であることを知っている。理解している。
だから宝は盗むし、正義の味方である海軍からは常に追われる存在。世界から嫌われ、市民からは恐れられる。
だけど私達はシャンクス達が市民に決して手を出さない、善人の海賊だとも知っている。実際、宝箱の中に入っていた私とウタを海に放り投げるような事はせず、約六年間育ててくれた。恩しかない、私達の家族。
けれど、私達は見ていなかった。
海賊がどれだけ残虐な存在なのかを。
｢分かった。誰かウタとAを部屋に避難させといてくれ｣
｢任せろ｣
いつものように、他の海賊団と戦闘になった時のことだった。
私とウタはまだ子供で女の子だからという理由で戦闘に参加することがなく、安全な場所で事が片付くまで待機させられている。
今回も同様に、私の部屋で二人で待機することになり、姉としてウタが部屋の外に出ないように｢それじゃあ人形遊びでもしようか｣と、後ろにある箱に手を伸ばした時だった。
｢いつも部屋に閉じ込められて、つまんない｣
不貞腐れたように、そう呟くウタ。
確かに最近のウタは部屋の外に出たがる事が多くなっていた。昔は皆の言いつけを守って大人しくしていたけれど、ここ数ヶ月は戦闘に興味津々な様子で隙を見て抜け出そうとすることもしばしば。
そんな時は何とかウタを宥めようと‘‘一緒にこれで遊ぶ？’’と誘ってみたり、‘‘もしも我慢出来たらこれあげるよ’’と条件付きで私の数少ない女の子向けの物をプレゼントしたり、様々な方法で気を引いていた。
けど、それもそろそろ限界だったのだろう。
｢私、ちょっと行ってくる｣
｢えっ、だ、ダメだよウタ。シャンクスの言いつけを守らないと怒られちゃう！｣
｢一回だけだし、ちょーっと外を除いてくるだけだから｣
｢待ってウタ！！｣
私の静止の声を振り切って、ウタは部屋の扉を開けると廊下へ飛び出しそのまま外への扉へと走り去ってしまった。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 811人がお気に入り
お気に入り作者に追加
「オリジナル」関連の作品
この作品を含むプレイリスト ( リスト作成 )
この作品を含むプレイリスト 
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
チョコレヱト(プロフ) - マシロさんのことを陰ながら応援させていただきます。続き楽しみに待ってます！！（一部誤字がありますが気にしないで下さい） (3時間前) (
レス) id: f5508b36bf (このIDを非表示/違反報告)
チョコレヱト(プロフ) - 初めまして！初見ですがコメント失礼します。先に読ませていただいたのはこちらの作品なのですが、その後すぐにマルコさんルートも一気読みしました！字数が入らなくてなるので一言で言いますが、どちらも凄く好きになりました！ (3時間前) (レス) id: f5508b36bf (このIDを非表示/違反報告)
マシロ＿mashiro(プロフ) - 太陽さん» コメントありがとうございますm(*_ _)m 大学生活も落ち着いてきたのでまた書き始めました。ゆっくりではありますが更新頑張ります！ (4月12日 9時) (レス) id: 664df39994 (このIDを非表示/違反報告)
マシロ＿mashiro(プロフ) - ぴよラムネさん» コメントありがとうございます！こちら白ひげ海賊団ルートとはまた一味違った海軍ルートとなっております。なるべく早く更新出来るよう頑張ります！ (4月12日 9時) (レス) id: 664df39994 (このIDを非表示/違反報告)
ぴよラムネ(プロフ) - コメント失礼しますー！私を見て欲しかったを読みたくなって探してたらこの作品に出会いました！！別ルートがあったなんて…！更新頑張ってください！続き楽しみにしてます！！ (4月12日 0時) (レス) id: 4c4725f70b (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：マシロ＿mashiro | 作者ホームページ：http:
作成日時：2023年9月3日 16時
