たったそれだけで良かった【クザン】

九話 ページ12

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それに、シャンクスが私に欲しい物を聞く機会は滅多にないのだ。

島に降りる時は大抵ウタがシャンクスにベッタリなせいで私はあの二人と別行動だし、シャンクスがお土産に買ってくるのは大抵ウタとお揃いの何か。

それは服であったり、人形であったり、とにかく様々。けどそのほとんどは現在ウタの物で、正確には私がウタに譲ってあげたという事になっている。

私の中では恒例になっているウタのおねだりだ。


シャンクス達良かれと思って買ってくるものほぼ全ては最終的にウタの物になる。

だけど、ウタが欲しがらない物も僅かだけどあった。それが勉学の道具だった。


ノート、筆記具、本。これらの道具に関してはウタは全く関心が無いようで、これまでのおねだりは何だったのかと言いたいぐらい食いついてこない。

…ただし、可愛い物は除く。


要するに、シャンクス達が自分から買ってくる物はことごとくウタの物になるけど、私がお願いして買って貰う物は物によるけど大抵ウタの物にならない。

だったらこのチャンスを逃すわけにはいかないのだ。



｢Aは本当勉強熱心だなぁ。よしよし。将来やりたい事でもあるのか？｣

｢……いや、別に…ただ、…｣



ただ、シャンクスにあまり構って貰えないから…
だから、代わりに勉強しているだけで…――



｢…ただ、何となくだよ｣

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