たったそれだけで良かった【クザン】

プロローグ ページ2

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上の子は、下の子より多くの物事がこなせるものだ。
下の子は、上の子より出来ないことが多い。


上の子は、下の子より一人でも何とかなる。
下の子は、上の子より周りの助けを必要とする。


上の子は、だんだんと大人になっていく。
下の子は、まだまだ子供らしさが残っている。


上の子は、下の子を守るべきだ。
下の子は、上の子に守られる存在だ。


上の子は、下の子より自立していく。
下の子は、上の子より大人に構われるようになる。


上の子は、精神的に孤立していく。
下の子は、精神的に満たされている。


上の子は、‘‘海賊’’以外の世界を知ろうとする。
下の子は、‘‘海賊’’以外の世界を知らなかった。


上の子は、‘‘海賊’’の残酷さを知った。
下の子は、‘‘海賊’’の残酷さを知らなかった。


上の子は、‘‘家族(海賊)’’を恐れるようになる。
下の子は、‘‘家族(海賊)’’を愛していた。


上の子は、船長(・・)を父親と思えなかった。
下の子は、船長(・・)を父親と慕っていた。


上の子は、‘‘家族(海賊)’’が全てで無かった。
下の子は、‘‘家族(海賊)’’が全てだった。


上の子は、‘‘海賊’’以外の世界を知った。
下の子は、‘‘家族(海賊)’’に裏切られた。

＿＿家族(海賊)は、二人の娘を失った。


上の子は、海賊を恐れた。
下の子は、海賊を憎んだ。


上の子は、海兵になった。
下の子は、歌姫になった。


上の子は、ただの少女だった。
下の子は、救世主と崇められた。

＿＿家族(海賊)は、所詮は海賊だった。


上の子は、海兵として市民を守ろうとした。
下の子は、歌姫として市民を救おうとした。

＿＿家族(海賊)は、ただ止めたかった。


上の子は、下の子を抹殺しなければいけなかった。
下の子は、上の子に邪魔されたくなかった。

＿＿家族(海賊)は、全てが遅すぎた。



結局、彼らが対立する結末を迎えるのは、神様のいたずらでも偶然でも奇跡でもなく、必然であったのだろう。

どうしようもなかった。
どう足掻いても最終的にはそういう結末になる。

これは、そういう物語なのだ。

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