2. ‘‘私’’を見て欲しかった【マルコ】

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｢嵐を抜けたぞ！！怪我人はこっちに来い！｣

｢全員いるか！？｣







｢＿＿＿っ、一人居ません！！！｣







｢は……？｣



一人、居ない？だがAから報告された人物はナミュール達によって全員救出されている。そんなはずは……。



｢…まさか｣



でんでん虫を切る直前、Aはマルコに対して何かを言おうとしていた。もしもそれが転落した事についてなのであれば…。


マルコは弾かれたように不死鳥に姿を変えると船の周辺を飛び回り消えた隊員を必死に探した。


…が、既に沈んでしまっているのか上空から姿は確認出来ず、マルコは焦燥に駆られ始めていた。



(マズイ、早く見つけねぇと……！ナミュールにも連絡して…っ！)






早く見つけなければ溺死してしまう。



早く、早く、早く＿＿＿







｢マルコーーーっ！！｣

｢A！？！？｣


バンっと大きな音を立てて開かれる扉。
船内から飛び出してきたのはAで、右手からはリボンが海に向かって伸びていた。


さらにマルコを視認すると左手からもリボンを伸ばしてマルコに繋ぎ、能力共有で不死鳥(ひな)に姿を変えるとパタパタと腕を必死に動かしながら不安定な飛行でマルコの元へ駆けつけた。



｢み、右手のリボンの先に落ちた人いる！リボンの長さを固定してるからこれ以上は沈まないけど、縮めようとしたらあの人が重すぎて私が逆に引っ張られちゃう｣

｢なるほどな…分かった、俺達で引っ張りあげる。一旦甲板に降りるぞ、リボンは解除するなよ！｣

｢うん！｣



Aは不死鳥姿のマルコの背中に乗るとマルコとのリボンを解除し人間の姿に戻る。


そしてそのまま二人で甲板に降り立つとマルコが素早く周りに指示を出し、力のある船員と共にリボンを掴んで力の限り引っ張った。



｢一応聞いとくがっ……このリボン、ちぎれねぇだろうな？｣

｢安心してよマルコ、特訓の成果はバッチリだから｣



そう言って親指を立てるA。
確かにこれだけ引っ張っているのにも関わらずリボンがちぎれる様子は全くない。


どんな耐久力をしているんだ…いや、能力で作られたものだからなのかもしれねぇな。


こうして引っ張り続けること十数秒。転落した船員が水面に現れたのを視界に入れたマルコは再び不死鳥になり素早く船員を回収することに成功した。

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