‘‘私’’を見て欲しかった【マルコ】

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｢うん！やっぱりここは赤髪海賊団よりも居心地が良いや…あっ、でも贔屓は嫌だから止めてね？私みたいに辛い思いをする人を私のせいで出したくないから…｣



ウタを贔屓したせいで赤髪海賊団から放って置かれてしまったA。我慢を当たり前として要求される辛さは身をもって体感している。


だからこそそんな辛い体験を新しい‘‘家族’’にして欲しくない。


これから末妹になるAは自分が赤髪海賊団でいうウタのような立場になる事を理解し、赤髪海賊団二の舞になってしまうのではないのかと危惧していたのだ。



｢グラララ！自分よりも兄達の心配か、家族思いの良い娘だ｣

｢安心しろA、親父は俺達全員に対して平等に愛情を与えてくれるんだよい｣

｢…！そっか、シャンクスよりも良い父親なんだね、お父さんは｣

｢あんな小僧と一緒にするな、アレは父親失格だ｣



シャンクスを小僧呼ばわりする白ひげにAは思わずクスッと笑う。あの船での世界しか知らなかったAからすればシャンクスは偉大な父親だったが、目の前の父からすれば赤子同然らしい。


父親失格…まぁ、確かに自分からすれば娘を平等に出来なかったシャンクスは父親失格だろう。だが、それでも…



｢でも…ウタにとっては良い父親だったと思うよ｣

｢お前を悲しませてるじゃあねェか｣

｢…そうだね。でももう大丈夫だよ。だってお父さんとマルコ達が居るんだもん！｣



そう言ってにこっと笑うAに目を細め、白ひげは己の手を伸ばし指で幼い体を優しく撫でる。齢10歳の体は自身の手にすっぽりと収まるほど小さく、ちょっと力を入れればすぐに壊れてしまうほど。


そんな子供に、何て辛い経験をさせたのだろうか。そんな思いは、ここでは絶対にさせない



｢私、今すっごく幸せだよ｣




＿＿＿＿





｢親父、どさくさに紛れて酒を飲まないでくれよい｣

｢馬鹿野郎。飲みてェもん飲んで何が悪い｣



何十年もモビーに乗っているが、親父の飲酒を止めることが出来た日など片手で数えれる程度。


だが、親父には長生きして欲しい。何とかならないかと思っていた時、きょとんとしているAが目に入った。



｢お酒って体に悪いの？｣

｢…あぁ、早死する｣

｢早死！？お、おお父さん！お酒だめ！めーっ！｣



｢…マルコ、それはずりぃだろうがァ｣

｢言う事を聞かねぇ親父が悪ぃよい｣



娘こそ正義。

次からはAにストッパー役を任せようと思った瞬間だった。

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