十四話☆ ページ16
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今思い返してみると、Aとウタという二人の少女に対する扱いの差は出会った瞬間でさえうっすら感じることが出来た。
『ウタの姉のAだ』
『お姉ちゃんだろ?もう少し優しく言ってやれ』
Aに出会った時、シャンクスはAを‘‘ウタの姉’’と紹介し、それ以降もAに対して何処か‘‘姉’’を強調しすぎているのではないか、とマルコは内心思っていた。
実際、レッドフォース号で朝食を頂いた時の世間話でもシャンクスの口から出てくるのはウタ、ウタ、ウタ。
Aの話は無いのかとシャンクスに尋ねると‘‘Aはウタの〜〜’’とか‘‘よくウタに物を譲ったりして〜〜’’とか、A個人のエピソードが1つも無かった。
『Aは大人びてるんだ。だから俺達はそっとしておくのが一番なのさ』
などとシャンクスは言っていたが、朝Aが倒れそうになってシャンクスがウタを優先した時のAの表情は…酷く、愛情に飢えていた。
マルコがAと出会ったのは今日が初めてだがそんな自分でも違和感を感じるのだ。赤髪海賊団の船員達ならおかしいと思っていてもおかしくは無いはず。
…いや、そもそもアレが当たり前だと思っているのか。
あのお嬢ちゃんが気の毒だな、とマルコは思いながら赤髪海賊団が溺愛しているウタに目をやると、テーブルの上で歌っている様子が目に入る。まぁ、ウタを構ってやる彼らの気持ちも分からなくない。
「…」
が、果たしてあの少女がそういう性格なのは偶然か、はたまた彼らの扱いの差によるものか。残念ながら自分がそれを判断するには付き合いが短すぎる。
…シャンクスやウタがダメでも、他の船員ならAの事を分かってやれてるのかもしれない。そんな淡い期待を抱いて今朝の出来事は忘れることにした。
…のだが
「ウタ!!ねぇ、ウタっ……」
昼食を取ったあとシャンクス自慢の音楽家の歌を聞いている時、今朝の少女…Aが突然人混みに乱入してきたかと思うとウタの名前を何度も叫んだ。
何か急ぎの用事でもあったのだろうか、Aは周りの視線も気にせず何度も何度もウタの名前を呼ぶものだからマルコは思わずAに駆け寄ろうとしたが、恐らく赤髪海賊団の船員の声だっただろう。
「今いい所だったのになぁ」
「今からサビで盛り上がるって時に…タイミングが悪かったな」
(…おいおい、本人に聞こえてねぇよな?)
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マシロ_mashiro(プロフ) - 雪さん» ウタの姉ポジって結構流行ってたので「またか…」って思われないか不安だったんですが、そう言っていただけて嬉しいです! (2023年3月31日 23時) (レス) id: 664df39994 (このIDを非表示/違反報告)
雪(プロフ) - イベントに参加していただいてありがとうございます‼うたちゃんのお姉ちゃんポジ結構好きなので読めて嬉しいです‼もう夢主ちゃんの心の叫びがすごく心に刺さって泣いちゃいました‼すごく面白かったです‼ (2023年3月31日 23時) (レス) @page44 id: 7fdb052437 (このIDを非表示/違反報告)
マシロ_mashiro(プロフ) - 白音さん» 他サイトの方は更新遅れて本当にすみません!!現在七割ほどは完成していますのでもうしばらくお待ちください! (2023年1月5日 7時) (レス) id: 664df39994 (このIDを非表示/違反報告)
白音 - 他サイトの方から見てました!そちらの方の更新も楽しみに待ってますね〜 (2023年1月4日 23時) (レス) @page40 id: 233ae7acb4 (このIDを非表示/違反報告)
マシロ_mashiro(プロフ) - 桔梗さん» 慣れない愛され?を書いたらちょっと精神年齢が幼くなっちゃいました笑。実はそろそろ溜めてた分が無くなるので更新速度は遅くなりますが、その分彼等との交流を執筆出来たらな〜って思ってます。 (2023年1月4日 20時) (レス) @page40 id: 664df39994 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:マシロ_mashiro | 作者ホームページ:http:
作成日時:2022年12月18日 17時