九話 ページ11
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「…っ……。」
「お、おい…大丈夫か?」
‘‘お姉ちゃん’’ではなく‘‘一人の少女’’に対して優しさを向けられたのは本当に久しぶりで、ぶわりと涙が溢れそうになる。
だけどすぐ側にはシャンクスやまだ泣き止まないウタがいる。それにこの人は別の海賊団、部外者だから心配をかけるわけにもいかない。片腕を思いっきりぎゅ〜っとつねり必死に涙を引っこめる。
「だ、だい…じょう、ぶ」
「…そうか」
__赤髪海賊団よりも白ひげ海賊団の方が…
そんな考えが頭をよぎる。でもダメ、私は赤髪海賊団のウタのお姉ちゃんという役目がある。それにこの人たちに…良い人達に迷惑をかけちゃダメだ。こんな考え、
「いやぁ悪かったなマルコ、うちのお姫様のせいで」
「…ま、これぐらいが子供らしくて良いんじゃないのか?親バカ」
「ハハ、親バカか、その通りだな。だがそれを言えば俺達皆ウタの親バカだな!」
「……、…そうかい」
‘‘ウタの親バカ’’
シャンクスは私をウタの姉としてしか見ていない、それは他の皆も同じで私自身それを自覚していた。だけど…それでも、私はシャンクスの娘なんだって思ってた。でも違うんだね…私はウタの姉だけどシャンクスの娘じゃなかったんだ。
「…私、部屋に戻るね」
「もう戻るのか?もう少し 「シャンクスー、こっちで遊んで!」 あー、気をつけるんだぞ」
「うん…」
三度目の正直。親切な男の人にぺこりと頭を下げて今度こそ自室に戻る。…そうだ、あの人から貰った薬でも飲んでおこうかな。確か粉の奴が頭痛薬だって言ってたはず。水で薬を流し込みベッドに潜り込んで目を瞑る。寝て起きたらきっと良くなってるはずだから…。
「この風は どこからきたのと 問いかけても 空は何も言わない 〜♪♪」
「…っ」
ウタが、歌っている。
きっといつものように赤髪海賊団に 「何か歌ってくれよウタ!」 「お前の歌は最高だからな、アイツらにも聞かせてやれよ!」 などと囃し立てられたんだろう。それで気分がよくなったウタは誰もが見惚れる歌声を船内に響かせて……皆に褒められて、頭を撫でられて、シャンクスに……。
『お前こそ赤髪海賊団の音楽家相応しい。流石は俺の娘だ』
ずるい。羨ましい。
私だって皆に見て欲しいのに。ウタの姉としてじゃなく、一人の少女として、Aとして…見て欲しいのに…っ。
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マシロ_mashiro(プロフ) - 雪さん» ウタの姉ポジって結構流行ってたので「またか…」って思われないか不安だったんですが、そう言っていただけて嬉しいです! (2023年3月31日 23時) (レス) id: 664df39994 (このIDを非表示/違反報告)
雪(プロフ) - イベントに参加していただいてありがとうございます‼うたちゃんのお姉ちゃんポジ結構好きなので読めて嬉しいです‼もう夢主ちゃんの心の叫びがすごく心に刺さって泣いちゃいました‼すごく面白かったです‼ (2023年3月31日 23時) (レス) @page44 id: 7fdb052437 (このIDを非表示/違反報告)
マシロ_mashiro(プロフ) - 白音さん» 他サイトの方は更新遅れて本当にすみません!!現在七割ほどは完成していますのでもうしばらくお待ちください! (2023年1月5日 7時) (レス) id: 664df39994 (このIDを非表示/違反報告)
白音 - 他サイトの方から見てました!そちらの方の更新も楽しみに待ってますね〜 (2023年1月4日 23時) (レス) @page40 id: 233ae7acb4 (このIDを非表示/違反報告)
マシロ_mashiro(プロフ) - 桔梗さん» 慣れない愛され?を書いたらちょっと精神年齢が幼くなっちゃいました笑。実はそろそろ溜めてた分が無くなるので更新速度は遅くなりますが、その分彼等との交流を執筆出来たらな〜って思ってます。 (2023年1月4日 20時) (レス) @page40 id: 664df39994 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:マシロ_mashiro | 作者ホームページ:http:
作成日時:2022年12月18日 17時