【第五人格】同居人は不法侵入者

一話 ページ2

人は本当に驚いた時、全く声が出ないとネットで見たことがある。そしてネットと言えば、夢かどうかを確かめる方法の一つとして頬をつねる、または壁にタックルしてすり抜けられるか等があると載っていたな…


｢…痛い｣


前者の方法を試してみるけど普通に痛い。ということはこれは現実……






｢あー………オジャマシテマス｣


なら、今、私の家(マンション)で、私の部屋で、座っているこの男は……現実だって言うの？

一人暮らしをしているはずの私の部屋。でも目の前には見覚えのある男が向こうも驚いたのか片言で挨拶をしている。いやいや待って待って…だってこの人は…第五人格のサバイバーの一人、傭兵 ナワーブ・サベダー にそっくりだもの…


｢っだ、誰…ですか。警察呼びますよ！？｣


お互いに見つめ合うこと約数十秒。勇気を振り絞って声を出す。もしかしたら空き巣の可能性もあるから近くにあった適当な物を手に取り構える。対する不法侵入者は ｢まぁまぁちょっと待て｣ と言いながら手招きをする


｢俺にも説明させろ。とは言っても、信用はしないだろうけどな｣

｢で、出て行って…！｣

｢おい、落ち着けって｣

｢来ないで！っ、誰か！｣


この人はただのコスプレ姿で空き巣をしている変人だ、そうに違いない。戸締りはしっかりしていたはずなのにどうしてと思いながら叫ぶと、男性は急に近づこうとしたため反射的に物を投げつける

恐怖と驚きと困惑で涙をポロポロと流しながら帰って、出て行ってと叫び続けると、観念したのか男性は気まずそうに部屋を出ていった。ガチャンと扉の音がすると、私はその場に座り込む


｢なんなの……あの人…｣


仕事が終わって家に着いたと思ったら傭兵のコスプレをした空き巣がいるなんて最悪だ。次来たら本当に警察を呼ぼう。…いや、明日は休日だから警察に相談でもした方が良いのかもしれない

実家に連絡をしたいけど残念ながら今は真夜中。電話も出てくれないだろう。仕方が無いので、今夜は誰にも相談できずに寝ることになったわけだけど…


｢…お母さん…お父さん……っ｣


あんな事があってはもちろん寝付く事が出来ず、結局一睡も出来ずに朝を迎えてしまった。

もう二度と会いたくない

そう思っていたのに…



｢…よう、昨日は悪かったな｣

｢な、なんで…｣


翌朝、早速警察に向かおうとマンションを出ると、何故か昨日の謎の男性に待ち伏せされていた

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