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手鏡4 ページ45

「何…これ…なん、でこんなっ…」
「A、下がっていろ!」

相談者の来る時間に合わせて事務所に戻れば、目に映った色は、赤ー。

「お帰りなさい、小泉さん。…待っている間、事務所を訪ねてこられたお客様、私が代わりにもてなしておきましたよ」

返り血を浴びた姿でソファに座って微笑む女性。
床には、これから相談を受ける予定だった依頼者が血まみれで転がっていた。

「アンタはポートマフィアの。森さんの命令か?何故この事務所を狙った!」

余りの凄惨な光景に動けずにいる私を庇うように、作之助が立ちはだかった。作之助が銃口を向ければ、彼女もまた、此方に銃口を向けた。
森さんがこんな命令を…?どうして…?
今日、アンドレは森さんと一緒に買い物だ。じゃあ、もしかしたら今、アンドレも危ない状況なんだろうか。
身体の震えが止まらない。
あの依頼者は、死んでしまっているの…?生きているなら、救急車を呼ばないと…。
沢山の思いや嫌な想像が頭の中に渦巻いた。
それを外へ逃がす様に、涙が頬を伝う。

「どうして、樋口さん…!?」

以前、一度だけ会った事のある女性に問えば、微笑みながら口を開いた。

「貴女が欲しいんです。だから、私に殺されてください。貴方を殺して、私が貴女になる。貴女を殺して、貴方の血を浴びれば、私は、私は…!」

狂ってる。
そうとしか思えなかった。
怖いー!
思わず、作之助の服を掴んだ。
その手さえ震えていた。
作之助が銃を持っていない方の手で、私の震える手を包み込む。
私だけに聞こえる様に、大丈夫だと言ってくれた。

『主よ、気を確かに持て。あの女から、嫌な臭いを感じる。気を落ち着かせ、意識を澄ませば、主も感じるはずだ』
「…ぎん、れぃ?」

頭の中に響いた相棒の声。
動揺して波打つ鼓動を必死に抑え、意識を集中させた。

「…何か、憑いてる」
「何?」

確かに見えた。
樋口さんの背後に蠢く黒い影。
霊ではない。
何かの術が形を得たものだ。術の根本を断てば、彼女は正気に戻るはず。

『主よ、主は既に、この術を経験しているぞ。隠れているだけだ、我の鼻は誤魔化せない』
「…!鏡…!!」

ズガンー…!

答えに辿り着いた時、事務所に銃声が響いた。

「いやっ…!!」

樋口さんの手から血が噴き出す。

「森、さん…?アンドレ…?」
「今、帰った」
「こんにちはAちゃん。…すまないね、私の部下が迷惑をかけてしまったみたいだ」

森さんの手に握られた銃から、煙が立っていた。

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をたく - 夏目友人帳とコラボでこの作品出してほしい (2020年1月3日 4時) (レス) id: cd1a846ab2 (このIDを非表示/違反報告)
光牙 - 怪奇症候群を思い出すなぁ... (2018年8月16日 20時) (レス) id: bfcb6bfd1c (このIDを非表示/違反報告)
amato(プロフ) - ルルさん» コメントありがとうございます!猿夢はグロいですよねwしかも、元ネタ読むと自分も同じ夢を見るという噂が…。まぁ、私見てないんですけど (2017年8月31日 6時) (レス) id: 6e722ca549 (このIDを非表示/違反報告)
ルル(プロフ) - ヒャ、猿夢はトラウマです…うぅ…(長い間見てなかったです。すみません) (2017年8月30日 5時) (レス) id: 622016f6ff (このIDを非表示/違反報告)
amato(プロフ) - にぃさん» ありがとうございます! (2017年8月27日 9時) (レス) id: 6e722ca549 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:amato | 作成日時:2017年8月16日 22時

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