二体様5 ページ34
呪術とは、霊能力者が人を殺めるために編み出された術。同じ霊術でありながら、私が普段使う結界術なんかとは全くの別系統にあたる。
『Aさん、私も出来る事があるならやりますわ!』
「お兄さんよりずっと肝が据わってるね」
『勿論』
谷崎君の苦笑いが見える様だ。
「今から銀霊にお札を二枚持たせてそっちに向かわせる。銀霊が着くまで二体様が中に入ってこない様に簡易的な結界の張り方を教えるね」
『…待って、ください…二体様って、どういう…』
「説明は後、結界が先」
二人には、空き家にある全ての外と接している扉と窓の両端に盛り塩をするように指示をした。
なんの道具も手元にない場合、これが一番手っ取り早い。本当なら清塩がいいが、贅沢は言ってられない。
下手に言霊なんかを教えると逆効果だったりもするし。
よく言われる九字切なんかは、何の信仰心もない素人が使えば、刃の付いてない刀を振り回すのと同等の行為となり、逆上させてしまう事だってある。
部屋の四隅に盛る方法は、部屋の中に入り込む事を防ぐため家そのものへの侵入を拒みたい場合は外に接する窓や扉を挟むように置く。
『銀零』
二人が電話口に戻ってくる間に相棒を呼び出す。
「話は聞いてたね?この札を持って二人の処に行って」
『承知した』
棚から取り出したお札を渡せば、口に咥えて白銀の煙となり部屋を出ていった。
二人とは探偵社を訪れた時に握手を交わしている。
私が一度でも触れた人物なら、その人物の霊力記憶し辿ることができる。銀零はこれを匂いと云ってる。
霊力を少しも身体に宿していない、所謂ゼロ感と云われる人は無理だけど。
『Aさん、終わりましたわ!』
「お疲れ〜、さっき銀零をそっちに向かわせたからそのうち着くと思う」
『ありがとうございます。…それで、さっき言っていた二体様って…』
「二人とも蠱毒って知ってる?」
『いえ…』
『知りません』
蠱毒とは、壺の中に百足や蜘蛛等の毒虫を入れて飢えた状態で共喰いさせる。生き残った一匹は壺の中で死んだ虫達の怨念を受け、生きた呪いとなる。
その虫を対象の人間に向けて放つことで呪いを成し遂げる呪術だ。
「二体様っていうのは、その人形バージョン。私も経験があるのは蠱毒だけで、二体様を実際に相手にした事は無いんだけどね」
電話の向こうで息を飲む音が聞こえた。
失踪したという館の主人が何故そんなものを作ったのかは分からない。
まともな神経の持ち主では無かった事は確かだろう。
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をたく - 夏目友人帳とコラボでこの作品出してほしい (2020年1月3日 4時) (レス) id: cd1a846ab2 (このIDを非表示/違反報告)
光牙 - 怪奇症候群を思い出すなぁ... (2018年8月16日 20時) (レス) id: bfcb6bfd1c (このIDを非表示/違反報告)
amato(プロフ) - ルルさん» コメントありがとうございます!猿夢はグロいですよねwしかも、元ネタ読むと自分も同じ夢を見るという噂が…。まぁ、私見てないんですけど (2017年8月31日 6時) (レス) id: 6e722ca549 (このIDを非表示/違反報告)
ルル(プロフ) - ヒャ、猿夢はトラウマです…うぅ…(長い間見てなかったです。すみません) (2017年8月30日 5時) (レス) id: 622016f6ff (このIDを非表示/違反報告)
amato(プロフ) - にぃさん» ありがとうございます! (2017年8月27日 9時) (レス) id: 6e722ca549 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:amato | 作成日時:2017年8月16日 22時