二体様6 ページ35
side:ナオミ
Aさんの話では、二体様は大量の人形を一室の中に押し込め、家の中を無人の状態にする。
何日か空けて帰ってきた時、身体の一部が欠損している人形の中に五体満足の人形が二体だけ残っており、それが二体様として呪いの力を持つらしい。
『まぁ、そういった方法は降霊術みたいな処もあってね、蠱毒と二体様の大きな違いはその割合』
人の形を成す人形を使う二体様は、その生き残った人形そのものが呪いというより、霊を宿す器とする意味合いの方が大きいらしい。
蠱毒は器というよりも呪いそのものとして使われるそう。
『依代が必要な霊ならそこまで現世への影響力は強くない。やる事さえやれば何とかなるよ』
Aさんには、銀零とうAさんの守護霊獣がもってくるお札を使って二体様の中から霊を追い出すように云われた。二体様とは言え器となっている人形は現世の物質であり、銀零は触れられないらいい。
『刀の姿なら器ごと切れるんだけど、銀零を刀の姿に変えて扱えるのは主人の私だけだからね、霊を外に出すまでは二人に頑張ってもらうしかないからよろしく。にしても…変なんだよねぇ』
「変って何がですか?」
『人が使う呪いっていうのは無差別じゃなくて、対象が決まってるものなんだよ。たまたま通りかかったからって、二人が目を着けられるなんて…』
霊力が高ければ、稀に目を着けられる事はあるらしいが、私も兄様もそれには当てはまらないという。Aさんの話では、探偵社で一番霊力が高いのは意外な事に社長らしい。
何でも、剣術や武術等の一芸を極めた人物は後天的にそういった力が強くなる事があるそうだ。
『まるで、仕組まれたみたい』
「…やっぱり、あの弁護士」
「兄様、無事夜明けが迎えられたら、探偵社に戻って調べてみましょう」
顔すら見せなかった今回の依頼人。
Aさんの言う通り仕組まれたと考えるなら、その対象は探偵社員の誰でも良かったことになる。
今回の依頼は偶々私達が請負う事になっただけなのだから。
『じゃあ武運を祈るよ。頑張って!ご飯食べてくるね〜』
「え、ちょ、Aさん!!?」
非情にも電話から聞こえたのは非通話音。
兄様が必死に呼びかけるも、既に向こうは通話をやめている。
「なんだか、Aさんらしいですわね」
外には不気味な人形がうろついていると言うのに、彼女と話しただけで部屋が明るくなった気がする。
ガラガラ…
「っ…!今…」
「ナオミ、僕の後ろに!」
聞こえたのは、玄関の開く音。
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をたく - 夏目友人帳とコラボでこの作品出してほしい (2020年1月3日 4時) (レス) id: cd1a846ab2 (このIDを非表示/違反報告)
光牙 - 怪奇症候群を思い出すなぁ... (2018年8月16日 20時) (レス) id: bfcb6bfd1c (このIDを非表示/違反報告)
amato(プロフ) - ルルさん» コメントありがとうございます!猿夢はグロいですよねwしかも、元ネタ読むと自分も同じ夢を見るという噂が…。まぁ、私見てないんですけど (2017年8月31日 6時) (レス) id: 6e722ca549 (このIDを非表示/違反報告)
ルル(プロフ) - ヒャ、猿夢はトラウマです…うぅ…(長い間見てなかったです。すみません) (2017年8月30日 5時) (レス) id: 622016f6ff (このIDを非表示/違反報告)
amato(プロフ) - にぃさん» ありがとうございます! (2017年8月27日 9時) (レス) id: 6e722ca549 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:amato | 作成日時:2017年8月16日 22時