八尺様5 ページ6
「もう身代わりばれちゃったか」
やっぱり、ちゃんとした入れ物じゃないと効果が薄い。
「あれは…あの女が…!?」
「如何したんだい?」
「何言ってやがる、窓の外に白い帽子が…」
「中原さん、太宰さんは見えないですよ」
太宰さんには見えない。見えるのは、標的である中原さんと私、作之助とアンドレは辛うじてと云った処だろう。
「夜になるまでは手を出してこないので大丈夫です。彼女が仕掛けてくる時、私達も仕掛けます。ただ…」
「…何だ?」
「私達は、まだ貴方から依頼を受けていないんですよね。電話くれたのは龍之介だし」
「はぁ!?」
「改めて、中原中也さん。私達霊能事務所に、依頼をしますか?」
「んなもん、決まってんだろ。…報酬は、後払いでいいのか?」
二ッと笑った彼に、此方も笑顔で手を差し出した。
「うちは、安くないですよ?」
「そりゃ、楽しみだ」
握手が交わされ、交渉成立だ。
「中原さんに閉じこもって貰う時間まではまだ時間があるので、事務所内でしたら好きに過ごして下さい。ここは、結界で守ってあるので」
「分かった」
「アンドレ、部屋の準備するから手伝って」
「承知した」
新聞紙、ガムテープに清塩を両手に抱えて、下の階の部屋へと降りる。
「なんか、上騒がしいね。…楽しそう」
いいな、混ざりたい…。
盛り塩を作りながら言えば、アンドレに頭をぽんぽんされた。
結構誤認が多いが、盛り塩はただ塩を盛ればいい訳じゃない。塩に水分を含ませて三角錐や八角錘の形に盛る。因みに、塩自身には霊を祓う力はない。
塩には古来より邪気を吸収する力があるとされてきた。玄関や部屋の四隅に盛り塩をするのは、塩に吸収してもらい、家内や部屋の中への悪いモノの侵入を阻むためだ。
よって、祓うというより寧ろ引き付ける力があるため、間違っても枕元に置いてはいけない。
「できた!そっちは?」
「今終わった、これでよいか?」
「完璧!」
一晩中この部屋の中で過ごしてもらう事になる。
お腹空いた時用の軽食と飲み物と、簡易トイレも用意しないと。
「ペットボトルじゃダメかな?」
「…やめてあげなさい」
駄目なのか。
手に持っていた空のペットボトルをゴミ箱に入れた。
「ただいまー」
「おう、お帰りA」
「「「あ゛?」」」
「ただいま、中原さん。どったの、3人共。競馬で大穴が外れたような声出して」
心なしか顔も怖い。
反して中原さんは上機嫌っぽい。
「何だよ、名前で呼んだだけじゃねぇか?なぁ…A?」
446人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
をたく - 夏目友人帳とコラボでこの作品出してほしい (2020年1月3日 4時) (レス) id: cd1a846ab2 (このIDを非表示/違反報告)
光牙 - 怪奇症候群を思い出すなぁ... (2018年8月16日 20時) (レス) id: bfcb6bfd1c (このIDを非表示/違反報告)
amato(プロフ) - ルルさん» コメントありがとうございます!猿夢はグロいですよねwしかも、元ネタ読むと自分も同じ夢を見るという噂が…。まぁ、私見てないんですけど (2017年8月31日 6時) (レス) id: 6e722ca549 (このIDを非表示/違反報告)
ルル(プロフ) - ヒャ、猿夢はトラウマです…うぅ…(長い間見てなかったです。すみません) (2017年8月30日 5時) (レス) id: 622016f6ff (このIDを非表示/違反報告)
amato(プロフ) - にぃさん» ありがとうございます! (2017年8月27日 9時) (レス) id: 6e722ca549 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:amato | 作成日時:2017年8月16日 22時