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ひとりかくれんぼ3 ページ34

「…本当にやるの?」
「頼む」

美味しいお昼を食べた後、私は作之助に連れられて武装探偵社の社員寮に連れてこられた。
そして今、太宰さんの部屋の前にいる。

「自 殺したくてやったんでしょ?念願叶うし、放っておけばいいじゃんか…」

作之助からの頼みという事でやってきたけれど、正直全く気が進まない。だって、自業自得なんだもの。それに、”あんな状態”の人がひとりかくれんぼなんてやったら、どうなるか目に見えている。

「太宰には必ず言って聞かせるから、頼むA」

4年ぶりの友人との再会が死体とこんにちわになっては、作之助が可哀そうだ。
小さくため息を吐いて、ドアを開けた。

「何も感じない」
「それは、…太宰は本当にただの行方不明ってことか?」

安堵の色を覗かせた作之助には悪いけど、私が感じない=怪異がないということじゃないのだよ。
あと、行方不明っていうのは十分不安要素だと思うんだけど。

「銀零」
「おぉ、久しぶりだな」

相棒を呼べば、すぐさま姿を現す。今回は人が少ないから霊力制限していない。

「どう?この部屋」
『いるな…、主よ。だが、こんなに多いのは初めてだ』
「この部屋の主は?」
『生きている、今のところは。そこにいるぞ』

銀零が顔を向けた先は押し入れ。昨日から連絡が付かないって話だったけれど、ずっと隠れてやり過ごしていたんだろうか。

「作之助、いるってさ、太宰さん。残念なことにただの行方不明じゃなかったね…」

私も行方不明であることを切に願っていた。
人の世界があるように、人ならざるモノにも自分達の世界がある。その空間は、いくら霊力があっても人である限り感知することはできない。半妖や、妖憑きのような灰色の存在は別だけど。
ひとりかくれぼは、始めた瞬間アチラの空間に自動的に引きずり込まれる。見慣れた自分の家であってもそこはもう別世界なのだ。
ただし、引きずり込まれた案件に私達霊能力者が打つ手がないかと言われれば、それは違う。
自分に付き従ってくれる守護霊や、式神もまた人ならざるモノであり、彼らはアチラの世界を認識することが出来るのだ。

「じゃあ、ちゃっちゃと終わらせよっか」
「A…」

銀零を構えたところで、作之助に呼ばれる。

「銀零って、喋れたのか」
「…そこ?」

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銀狼(プロフ) - ゾッとして怖いって思っちゃうけど次のページの手が止まらない!2周目! (2019年12月2日 20時) (レス) id: fe6437d156 (このIDを非表示/違反報告)
泉桃花クラスタ - すごく面白くて、毎日楽しみにしています。更新頑張ってくださいね!楽しみにしています! (2019年3月30日 17時) (レス) id: 1a879c682f (このIDを非表示/違反報告)
カナネ - はじめまして、いつも読ませて貰ってますm(__)m 今また始めから読み返していて…間違えてたらすみません!コトリバコ5に誤字があったような気がします(>_<) (2018年3月22日 15時) (レス) id: 2f304636ee (このIDを非表示/違反報告)
amato(プロフ) - 猫勇者(ヒナっち)さん» 怖いと思って頂けたら書いた甲斐がありますね^^ありがとうございます (2017年8月21日 17時) (レス) id: 6e722ca549 (このIDを非表示/違反報告)
猫勇者(ヒナっち) - あ、更新頑張ってください (2017年8月21日 12時) (レス) id: 3b5a43403c (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:amato | 作成日時:2017年7月23日 16時

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