番外編�� ページ26
side：ジイド
「偽名？」
ミミックの司令塔という肩書を無くし、死ぬ理由を無くした俺は、目の前の少女に助けられ、つい先日、霊能事務所の従業員となった。
異能力者ならば勝手がわかるが、幽霊等という非科学的なものはどう対処したらいいかさっぱり分からず、同じくして従業員となった作之助と共に、彼女から助言を受けている。
「そんなものが必要なのか？」
「まぁね。名前っていうのは、自分の魂と肉体を結びつける鎖みたいな役割なんだ。その気になれば、名前だけで呪い殺すことだってできるんだよ」
普段の活発としたトーンとは裏腹な落ち着いた重みを帯びた声に、重要性を理解する。
「私みたいな霊能力者の一族に生まれてたり、代々続く貴族とかだと、生まれたときに真名って言われる鎖の役目を果たす本当の名前と、真名を知られないために日常的に使う偽名二つを授かったりするんだよ」
「ほぅ…ならば、Aというのは偽名なのか？」
「ううん、それは本名。作之助もアンドレも仲間なんだから、隠す必要ないじゃない」
信用してもらえていることは嬉しいが、あまりの無邪気さに些か心配になる。
どうも、この娘は人を信じすぎるきらいがあるように思えてしまう。我らには霊と戦う力はないが、人ならばいくらでも退けよう。信じることは悪ではない、それを利用する者が悪なのだ。
Aが傷つかぬよう、人からは俺と作之助が守らねば。
「とにかく、そういう場所で本名を呼ぶのは危ないから、二人には偽名を決めてもらいます！なんでもいいよ。私は目の色が緑だからって理由で、若草っていう偽名を付けられたし」
「親にか」
「ううん、師匠。偽名も真名と同じく、親とか誰かに付けてもらうことが多くて、私の場合は師匠がつけてくれたんだ」
「ならば、我らの偽名はAがつけてくれないか？」
「え！？」
「それはいいな」
作之助も俺の意見に乗った。
Aは命の恩人だ。新たな名を授かるなら、名付け親はAであってほしい。
我らのの申し出に考え込む姿は、非常に愛らしい。
「蘇芳…と、茜…」
少しして、Aが呟く。
「スオウ？アカネ？」
「作之助が蘇芳で、アンドレが茜。どっちも赤色を表す言葉だよ。作之助は赤毛から、アンドレは私と同じで目の色から取ったんだ。どう？」
茜は夕日の色なんだよ。と彼女は付け足す。
そうか、夕日の色か…。血のような赤だと言われてきたこの目を、君は夕日というのか。
「ありがとう」
君主から授かった名は、夕日の色だった。
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銀狼(プロフ) - ゾッとして怖いって思っちゃうけど次のページの手が止まらない！2周目！ (2019年12月2日 20時) (
レス) id: fe6437d156 (このIDを非表示/違反報告)
泉桃花クラスタ - すごく面白くて、毎日楽しみにしています。更新頑張ってくださいね！楽しみにしています! (2019年3月30日 17時) (レス) id: 1a879c682f (このIDを非表示/違反報告)
カナネ - はじめまして、いつも読ませて貰ってますm(__)m 今また始めから読み返していて…間違えてたらすみません！コトリバコ5に誤字があったような気がします(>_<) (2018年3月22日 15時) (レス) id: 2f304636ee (このIDを非表示/違反報告)
amato(プロフ) - 猫勇者(ヒナっち)さん» 怖いと思って頂けたら書いた甲斐がありますね＾＾ありがとうございます (2017年8月21日 17時) (レス) id: 6e722ca549 (このIDを非表示/違反報告)
猫勇者(ヒナっち) - あ、更新頑張ってください (2017年8月21日 12時) (レス) id: 3b5a43403c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：amato | 作成日時：2017年7月23日 16時
