【d!】いのち短し恋せよ少女【sha】【完結】 (ページ10)

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目の前には何年振りかの青が広がる。
それは記憶の彼方にあるそれよりも遥かにキラキラしていて、息を飲むほど綺麗だった。

私の隣で声を上げながら、同じくそれを眺める向日葵の君。
きっと太陽みたいな彼と一緒に見ているから、こんなにも輝いて映るのだと思う。

「めちゃくちゃ綺麗やな！」

『はい！とっても！こんなに綺麗な海、わたし初めて見ました！』

嬉しくてはしゃぎながらそう返すと、シャオさんもまた嬉しそうに笑ってくれる。

今日の昼は食べ歩きしながら街探検しようと2人で決めた。
夜には花火大会があるらしくて、夕方に浴衣のレンタルなんかもちゃっかり予約している。

初めて食べるもの。

初めて歩く道。

初めて嗅ぐ匂い。

初めて見る景色。

全部全部、初めてで。

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楽しい時間というのはあっという間で、もうすぐ花火が上がる時間。
今日一日は、本当に夢みたいな時間だった。
今までの自分の人生、辛いこととか多かったのも全てこの日のための代償だったのかな、なんて思うくらいには。

隣には浴衣を着たシャオさん。
日も暮れて周りも薄暗いけれど、シャオさんの周りはちょっとだけ明るく見えるから不思議。

隣から視線を上にすれば、空には大輪の花火。
あぁ、幸せだなぁ。
シャオさんと見れてよかった。

お祭りの喧騒と沢山の花火の音に隠して、わたしは小さく「ありがとう」と零した。