【d!】いのち短し恋せよ少女【sha】【完結】 (ページ14)

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時間が止まった様だった。

今、なんて言われた？

Aが、亡くなった？

死んでしまったんか？

病気は治ったんじゃなかったんか？

だって、彼女はいつも笑顔で。

会う時はいつだって元気で。

一緒に出かけた日だって、別れるまで体調を悪そうにしてたりとかそんなのは一切無かったはずや。

なのに、どうして？どうしてなん？

Aは俺らに、何か隠してた？

グルグルと思考がまとまらない。
何も、言葉が出なかった。

Aのお母さんはそんな俺を見て、また口を開いた。

「娘から預かっているものがあるので、それを黄瀬さんに受け取って頂きたいんです。」

差し出されたものを震える手で受け取れば、小さなUSBメモリと手紙だった。

「そのメモリの中のものを見て貰いたいと話していました。特に中身の説明はされていないです。見れば分かるから！と。ただあなたに、渡して来て欲しいと。」

「あまり長居するのもご迷惑を掛けますので、私はこの辺で失礼します。ただこれだけは言わせてください。」

立ち上がって俺たちの方を向くと、再び瞳に涙を溜めながら深々と頭を下げられた。

- 娘と仲良くして頂き、本当にありがとうございました -

俺たちが動き出せたのは、彼女がカフェの扉を閉めた時だった。

手元に残った二つに目線を落とす。
手紙にはAの字で［先に読んでね］と書いてあったので、開いてみる。

［一緒に渡したUSBの中には、二つデータが入ってます。2人にと、シャオさんに。2人の方は、2人で見てくれたらなって思います。］

手紙の中はそれだけだった。

「エミさん。今、見れる？」

気持ち的に、の話。

「えぇ、Aさんが残していってくれたもの、ちゃんと受け取りたいですから。」

大学に持ち歩いているノートPCを自分の荷物から取って来て、USBを挿し込んだ。

どうやら中に入っているデータは動画の様で、ファイルをクリックすれば、すぐに動画は流れ出した。

『...えーっと、ちゃんと撮れてるかな。

うん、大丈夫そうかな。よし。

そこには病院のベッドの上であろう場所で話すAが映っていた。