殺人鬼さんの過去と今【神威】

番外編【似てる】 ページ46

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お隣いいですか？と私の返事もなしに座ってきたアキ。机の上に置いたトレーの上には、人間にしては大盛りであり夜兎にしては小盛の丼が。
夜食にしては多いなと思いながら、リンゴを食べる私に彼は疲れましたね！だなんて笑顔で言う。


「つくづくお前が夜兎なのか疑うよ」
「正真正銘の夜兎ですよ！」


これ前にも言われた気がします、だなんて言う。はて、そんな事言っただろうか。
彼は熱々のどんぶりを口いっぱいに含み、美味しいと頬を緩ませる。久しぶりにこんな緩んだ顔を見れて私の方も口角が上がった。


「…にしても驚きました」


微笑ましく食べていた光景を見ていた時、唐突にアキは口を開く。何を言われるのか少し怖くて、心臓の鼓動が早くなる。


「父さんの家をぶっ壊した元凶がAさんだったなんて…」
「……あー」


思わずほっとしてしまう自分に気付かないふりをしよう。


「あのジジイには悪いとは思ってるさ、……少しくらいは」
「少し」
「次はお前も一緒に飲もう」
「俺お酒は飲めないタイプで…」


断られたものの少しだけなら飲めるそう。ならたっぷり足腰立たなくなるまで溺れさせようじゃないか。
するとAさんの隣に座ったら最後な気がするとのこと。コイツ日にまして図太くなってる気がする。


「それに……、俺飲みすぎると顔赤くなるし記憶なくしちゃうんですよ」
「……………」


遠慮気味に小さい声。照れたように頬をかいてほんのりと赤く染めている。思わず可愛いと思ってしまった自分を殴り飛ばしたいと同時に、少し昔のことを思い出してしまう。


「Aさん……？」
「……あ、悪い」


故郷での一件でふとした瞬間思い出すようになってしまった。ベラベラと長く話していたせいだろうか。


「お前照れたら頬をかく癖。バレてるぞ」
「エッ！それ父さんにしか気づかれたことないのに！？」


絶対あのＢやＣにはバレてると思うぞ。教えてはやらないがな。

空になった皿を返却棚に起き、私は自室に戻った。


「あの人も照れたらアキと同じことしてたな…」

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