_二百二十一訓 ページ30
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「しょうかそんじゅく?なんだそれ」
「学び舎です。学校みたいな…、知らないですか?」
焚き火を囲む男女は、生魚を焼いている。昼間に松陽が川でとったらしい。
「うげっ、何だこれ」
「骨ですよ。避けて食べてください」
「…めんどくさいな」
地球の食べ物はAの舌に合うものの、それは甘味と米と肉のみらしい。
軽い自己紹介を終えてからA、松陽と呼び合う仲に時間はかからなかった。
「にしても同じ体質が他にいたなんて、」
「私も初めて江華に会った時は驚いたさ」
自分一人だけかと思っていたこの体質。身体。血。星は違えど同じ種族がいた事にAも松陽も驚いたと語る。
「自分の星だけじゃなくて宇宙は広い。不思議なものだな。私も、お前も」
松陽は続ける。Aが星に帰る翌日まで二人は共に行動する。
この話を断る理由は特になく、Aは二つ返事でその誘いにのったのだった。
***
「あ、Aさーん!!」
翌朝。駆け寄ってきた十代後半の女性は昨日彼女が助けた娘だった。
「もう!目が覚めたらいなくなってて探していたんですよ!?」
「え、あぁ、悪い。手間かけたな」
頬を膨らす彼女を見ると思い出すのは一人の妹の姿。
「Aさん……?」
「A、何してるんですか?」
「松陽」
背後からぬっとやってきた彼に驚かすなとAが言う。整った顔立ちの男女の会話を聞いて、少女は目を輝かせる。
「まぁ!もしかして旦那様ですか!?」
「…………ん?」
「……はい?」
素敵!お似合い!!を連呼する少女に呆れるA。若者はこんなにも元気なのだと現実を打ち付けられた。
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美結菜 - とても面白かったです!完結おめでとうございます! (2023年2月8日 11時) (レス) @page48 id: f842e5f119 (このIDを非表示/違反報告)
Chaos(プロフ) - 長編お疲れ様でした。ありがとうございました。 (2022年4月17日 5時) (レス) @page49 id: 679f50534d (このIDを非表示/違反報告)
たろ。(プロフ) - 泣いた~誤字ちょくちょくあったけど内容とても面白かったです (2022年2月16日 8時) (レス) @page49 id: ba071d904f (このIDを非表示/違反報告)
雲雀 - 新連載楽しみにさせていただきます。これからも頑張ってください! (2021年9月22日 16時) (レス) @page45 id: 69d630334c (このIDを非表示/違反報告)
雲雀 - 完結おめでとうございます(*^▽^)/すぐに読みたかったんですがなにせ中間テストの期間に入ってしまい見ることができませんでしたが、やっと見ることができました。久々なので見返しますね。改めまして完結おめでとうございます。 (2021年9月22日 16時) (レス) @page45 id: 69d630334c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:なな | 作成日時:2021年5月26日 1時