＿百五十二訓 ページ9
.
「はぁー…」
「ため息吐いたら幸せが逃げるきに」
辰馬は神威の様子にアハハと笑いながら話しかける。
蓮華との会話で分かったのはほんの少しのこと。やはり幼い少女には知らないことも多いのだろうか。
「でもさ、妙にしっかりしてるよね。あの子供。人見知りなのに」
「見た目はちっこうても十二年生きてるからのぅ」
そうだった。白魔はそんな一族だった。
神威は、自分が書いた雑なメモを見る。辰馬もそんな彼の隣に座りメモを覗き込んだ。
「なんかがばっちゅうね、お兄さん」
「まあね。Aのことも気になるし」
「アッハッハッ。Aちゃん大好きじゃのぅ。でもあの子秘密主義と言うか…、自分のことはめっそう話したがらんしな」
うーんと、考え込む辰馬はあッ！と声を出して手を叩いた。まるで何かいい音が思いついたかのように。
神威はそんな辰馬に少し期待して話し出すのを待つ。
「やっぱこういうのは一番付き合いが長い奴に聞いた方が早いぜよ」
……と、言うことでやってきた鬼兵隊。目の前に座る高杉はうざったそうに煙管をふかしていた。
神威が訳を話せばスパー、と吐き出す煙。
「種族がどうとかは知らねェが、アイツァ昔から何一つ自分のことなんざ話そうとしねェよ」
寧ろ自分が知りたいとは口には出さなかった。
年齢はもちろん。家や、住んでる星のことすら教えてくれない人だったと思い出す高杉。
……だが、ただ一つAが楽しそうに話していたこと。それについてなら覚えている。
「自慢げに話してやがったぜ。妹の話」
「「妹……？」」
辰馬と思わずハモる。プールでの時ですらそんな事言っていなかった妹の存在。
高杉が言うには相当なシスコンらしい。そしてAとその妹もとても綺麗だったと。
「高杉、おんしAちゃんのこと綺麗だと思ってたが？」
そんな辰馬の言葉にスッと立ち上がったと思えば容赦なく足蹴りにする高杉を横目に考え込んだ。
「(妹…)」
だから蓮華の面倒見が良かったのか。そんなことを考えながら帰りは鬼兵隊にて酒を飲みかわし、第七師団へと帰宅した。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 143人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
yuuna1202(プロフ) - 本当ですか！嬉しいです！！ (2020年12月8日 11時) (
レス) id: 1a3b3ba982 (このIDを非表示/違反報告)
yuuna1202(プロフ) - 私この小説を応援してます！補佐さんが呪術廻戦に転生するのも見てみたいなと思います！？ (2020年12月7日 19時) (レス) id: 1a3b3ba982 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：なな | 作成日時：2020年7月17日 23時
