_百四訓 ページ9
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大きな爆風がAの横を通り過ぎる。それもそのはず、目の前にいるおっさんが艦隊1つを潰してしまったからだ。
小さくため息を吐けば阿伏兎も同様にやれやれと言って見せた。
「まったくどうなってんだ。息子といいあの親父といい」
「似たもの同士って訳だな」
「……お前さんも分からねぇな。裏表キャラにして星海坊主とも知り合い」
「誰があんな奴と知り合いだ。私の眼中にない、アイツら以下だ」
そう言い捨て少し後ろにいるBとCを指させば、たちまち彼等の情けない叫び声が聞こえる。
乾いた笑みと共にAの隣に並んではAくんは星海坊主を見た。
「それにしても…、星海坊主さん本当に1人で春雨を潰してしまいそうな勢いですね」
「もしコイツが伝説に残る戦いになるなら、そこに俺達の出番はあるのかねェ」
またもや後ろで激しい爆発音が鳴り響き、彼ら第七師団の辺りには春雨の敵が囲んでいた。
阿伏兎を先頭にAやAくんも走り、一斉に襲い掛かる者達に向かる。
「伝説の男の背中を護った男達がいたと」
「アイツの背中を護るとか気色悪くて吐き気しかしないから嫌なんだが」
「……Aさんどれだけ嫌いなんですか」
Aのツッコミを聞きながらも、彼女の手に持っていた紫色の傘を思い切り振りかざした。
___…
「急げェェェェ!!」
そんな声を荒げながらまた子は、通り過ぎる地面に倒れた者達の顔を見て違う違うと全速力で走った。
敬愛する高杉を必死に探す彼女。すると、頭上に大砲が打たれ崖が崩れ落ちる。
___…その時、時が止まった様に感じた。
スローモーションの様に目の前で上から落ちてくる高杉の姿を見て、大きく目を見開き誰よりも早く駆け出した。
あと少し、あと少しで伸ばした手は届かなかった。
また子をも落ちそうになったのを少女は止めるが、彼女は地面に崩れる顔に手を覆い小さく震えていた。
そんなまた子を見て目を伏せる少女だが、砂埃が収まった崖の下には見知った男がいた。
「……借りはきっちり返したよ」
マントを被って顔は見えなかったが、男は確かに少女の兄だ。
ふわりと高杉の上に蝶柄の着流しが被さった。その横には地面に刺さる彼の愛刀。
男はそれを残して獲物の元へと向かい、歩き出した。
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波璃 - 3作品目おめでとうございます!今作も面白いお話を期待しています!更新頑張ってください!! (2020年5月21日 23時) (レス) id: a6841af2ef (このIDを非表示/違反報告)
運動系引きこもり(プロフ) - わーー!!!待ってました!!ありがとうございます楽しみです!!更新頑張ってください!(ありきたりな言葉かもしれませんが本心です笑) (2020年5月21日 17時) (レス) id: 711990e728 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:なな | 作成日時:2020年5月17日 13時