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_百十三訓 ページ18

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目の前で激しく繰り広げるその戦いに、自身の横や後ろに落ちてくる瓦礫を避けられなくなるくらい…、虚と星海坊主に見入ってしまった。
これが“蛇に睨まれた蛙”と言うやつだろうかと、阿伏兎は思う。それは神威から教えてもらった日本なことわざ。

だが、きっと蛙は蛇に睨まれ恐怖で動けなくなっただけではないのだろうとこの状況だからこそ彼は感じた。


蛙はただ見惚れていたのかもしれない。
蛇ではなく、その龍に。


砂埃がたつ煙の中、ゴキッと曲がった骨を動かく音が聞こえる。何も無い上っ面だけの笑顔をうかべて。
少し前になくなった右腕からは紫色の煙が立ち上がり、蘇生していることがこちらから分かった。

……何度でも首を生やす龍に、勝てるのだろうか。死というしがらみのない男に、この男は勝るだろうか。阿伏兎は思う。


すると星海坊主は自身のもつ番傘を地面に落とし、代わりに懐にしまっていたものを強く握りしめた。
何も動こうとしない彼に、虚は腹に刀を刺す。突き刺したそこからは血が吹き出る。


「……なんのマネですか」
「俺も、しがらみとらわれるのはやめたのさ。不死者の魂を無理矢理引きはがそうってんだ」


次の瞬間。「こっちも肉体(ぜんぶ)脱ぎ捨てて、(はだか)で殴り合う覚悟くらいしねェとな」と言いながら、星海坊主の握っていた拳は虚の心臓を掴んだ。

心臓を握り潰すだけでは勿論不死者である彼は死なない。



「俺の掌ににあるのはお前の心臓だけじやねェよ。嫁へのプレゼントだ」


___…アルタナの結晶石。それはアルタナの噴出する龍穴にごく稀にできる結晶石だ。

地球生まれの不死者である虚にとって、異星のアルタナはガソリン車に軽油を入れるような行為。つまり、唯一不死者を倒せる方法だ。


「あなたが私の心臓を握り潰すのと、私があなたを両断するのどちらが早いと思いますか」


そう言う虚に対し星海坊主は不敵に笑う。続けて「少なくとも俺は」等と話を続けた。


「嫁へのプレゼントは一ヶ月前に買え揃えておくタイプだったよ」

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設定タグ:銀魂 , 第七師団 , 夜兎家族   
作品ジャンル:アニメ
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波璃 - 3作品目おめでとうございます!今作も面白いお話を期待しています!更新頑張ってください!! (2020年5月21日 23時) (レス) id: a6841af2ef (このIDを非表示/違反報告)
運動系引きこもり(プロフ) - わーー!!!待ってました!!ありがとうございます楽しみです!!更新頑張ってください!(ありきたりな言葉かもしれませんが本心です笑) (2020年5月21日 17時) (レス) id: 711990e728 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:なな | 作成日時:2020年5月17日 13時

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