_四十五訓 ページ46
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「まったくー、そんな噂を信じるなんてお子ちゃまだなぁー、第七師団の団員は。副団長もそう思わない?」
「……目撃しちまった俺に言うな」
「あら、ごめん」
何とか副団長の誤解も解けた。いや、副団長にしか事情話してないんだけどさ、あとAくん。
晋助が朝私の部屋から出てきたのを誰かが目撃してそれが一瞬で艦内全体に広がったらしい。みんな噂話好きだな。
「と、言うわけだから泣きぼくろも分かった?」
「えぇ、あの中二病はAさんのことを誘惑しているクズ野郎ということが分かりました」
「うん、分かってないね」
今は第七師団に居座っている泣きぼくろも私の噂とやらを聞いてから引っ付いている。横で話聞いてた筈なのになんで分かんないんだろう。耳ついてる?機能活動してる?
まぁ、この話はこれでおしまい。きっとそのうち消えてなくなるさ。人の噂も七十五日ってな。
「私も明日でお別れなのになんで低身長の中二病にAさんを取られなきゃいけないんですか……?」
「そっか明日だもんね。引越し」
泣きぼくろの新居は決まって江戸のかぶき町と呼ばれる街にアパートを借りたとのこと。へそ出し娘から聞いた。
荷造りは既に済んでいるらしく、今日はゆっくり過ごすらしい。
しかし、ここで一つ問題が発生している。
「明日一人で現地に向かうんですよ。少し心細いです」
「…………」
どうやら鬼兵隊幹部は全員“とある件”で今は忙しいらしい。それは第七師団も同じなのだがり
「じゃあ、明日は私空けとくから」
「……いいんですか?」
「だって元は攘夷浪士のボスの一人娘。それにもしかしたら鬼兵隊に入ってたことすらも情報が漏れてる可能性もあるんだ。何かあってからじゃ大変だろ?」
私がそう言うと泣きぼくろは「Aさん好きです!と抱きついてきた。モテる女は罪ね。
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水渚桃華 - 七瀬未来さんへ まだ少ししか読んでないですがこの作品面白いです。更新待ってます。 (2020年2月20日 17時) (レス) id: 3a85905bbd (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:なな | 作成日時:2020年2月18日 19時