補佐さんと宇宙海賊【神威】 (ページ22)

今日:29 hit、昨日:7 hit、合計:122,084 hit

＿二十一訓ページ22

.

辰馬が笑いながら話す中団長は貼り付けたニコニコ顔で私を見てくる。副団長はポカーンと。
私も懐かしい話、そしてまだ可愛かった晋助を思い出した顔がにやけてしまう。

「あったなぁ、そんなこと」
「なんじゃ？」
「いや…、今じゃ名前すら呼んでくれないんだ」

目を見開く(サングラス越しで見えないが)辰馬に私は机に膝をついてため息を吐く。
でもな、お前に反抗期の弟について語るとか意味無さそうだからやめておこう。

「何時もよりうるせェと思ったら…。なんでいやがんだ、てめぇ」
「アッハッハッ！なんじゃあ、高杉。あ、Aちゃん取られて嫉妬かのぉ」
「絶対それだ」
「死ね。」
「句点を付けるな。アッハッハッ！」

と、笑ながら晋助の刀が辰馬の頭をぶっ刺した。おぉ、地面が真っ赤だ。

「どうした？何か用か？」
「……別に」
「アッハッハッ！Aちゃん、なんも心配しんくっても平気ぜよ。高杉はただ……」

「「ツンデレなだけ」」

その後私たちは晋助の足蹴りの嵐を受けたのだった。

＿＿＿…

「ほぉ、一人ぼっちの女の子……。」

晋助も加わり、どんどん賑やかになっていくここ第七師団。
この女の子について今ま手間のことを話すと辰馬は意外と興味深そうな聞いていた。

「そう、あと少しで次の星に着くし……そこで施設に入れようって副団長が」
「なら、わしが預かろか？」
「………え？」

思わず間抜けな声が出る。
預かってくれるのは助かるが、仮にもこの子は戦闘民族。それに夜兎以上の絶滅危惧種なのだ。狙ってくる輩はいるだろう。
辰馬は面倒見てくれるお姉さんならこっちにいるとのこと。コイツ彼女いたのか。

「どうするの？副団長」
「別に俺ァなんでもいいぜ。手間が省けるしな」
「んー、俺的には欲しかったけど…。ま、いっか。だってほら」

団長が指さす先には辰馬に振り回されて楽しそうに笑っていた女の子。いつの間にあんなに懐いちゃって。少女本人からも「もっさんとなら大丈夫です！」と元気な返事がきたので本当に大丈夫そうだ。
それに、宇宙で商をしているなら争いごとにも巻き込まれないしそっちの方があの子にとってもいいのかもしれないしな。