_十四訓 ページ15
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「やあ」
「………」
「…え、ちょ。無視か?」
仕事が終わり、鬼兵隊の艦へと帰ってきた高杉。だが自室に戻るり羽織を脱ぐとクローゼットの扉が勢いよく開いた。
中から出てきたのはA。ゆっくりと中から足を出してクローゼットに腰掛ける。
「……元の戻ったじゃねーか。髪型は違ェがな」
「そうか?昔から髪は下ろしていたと思うが……」
高杉の言う通りAの服装は第七師団の時とは違い、露出が多い左側にスリットのある白い中華服。膝ぐらいまでの編み上げブーツを履いていた。
「お前さんの所にガキが来たらしいな」
「そうそう。ついさっきやっと寝付いて、今は私の部屋で寝ている」
「……訴えられるぞ」
「誰がロリコンだ。それに捕まるならお前も道ずれにする」
神威達の前とは違った落ち着いた男口調。凛とし落ち着いたAの声が小窓から入る月明かりで照らされる高杉の部屋に響いた。
話を続けるAに高杉は窓辺に腰掛け月を見上げながら耳を傾けた。
「それに前から私が子供好きなのは知ってるだろう?」
「…………」
「なんだその目は。……全く、晋助が傷だらけで神社に来た時誰が手当したと思ってるんだ。年上には敬意と感謝を持て、特に私には」
ロリコンクソ女と小声で言った声は本人に聞こえてしまいデコピンを食らわせる。
「てめぇ自分の馬鹿力理解してんのか」
「ふんっ、昔はもっと可愛げのある子供だったんだがなァ…」
空に向かって煙を吐く高杉を見てそっと閉ざされた左目に目がいき、Aはゆっくりとその傷口に触れる。
「……まだ痛む?」
「…もう完治してるらァ」
「そう……」
子供をあやすように高杉の頭を撫でるA。心做しか、過激派攘夷浪士と恐れられる高杉もどこか照れくさそうに下を向いた。
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水渚桃華 - 七瀬未来さんへ まだ少ししか読んでないですがこの作品面白いです。更新待ってます。 (2020年2月20日 17時) (レス) id: 3a85905bbd (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:なな | 作成日時:2020年2月18日 19時