_四十三訓 ページ44
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「ッたくよォー…、今何時だと思ってんだァ?あのすっとこどい共」
朝、集合時間になってもこちらに来ない例のすっとこどい共。Aと神威を起こしに副団長である阿伏兎が立ち上がったのだ。
……いつもしてると言うのは黙っておこう。
“補佐の部屋”というプレートが掛けられた一つの部屋に着いてノックをするも物音ひとつ聞こえない。
ドアノブに手をかけると、鍵がかかっておらずそのまま中に入れてしまうのもどうかと思うが。
「(一様男だらけのむさ苦しい所なんだからちったァ警戒心というのを持たねーかね)」
そう思いながら彼女の部屋に入りまた声を上げるが、いかにも現在進行形で寝てます様な声が聞こえた。
「おっさんに起こされたってテメーも嫌だろーが……。ぃえッ」
お世辞でも似合わない情けない声をあげる阿伏兎。目に入ったその光景に血の気が引いたのだった。
そんな苦労人の阿伏兎を知らずにAは布団に潜り込む。
「まだ後、三時間……」
「…………了解でーす」
いつもは雑に布団を剥ぎ取り、彼女を起こすのだが今回ばかりはイレギュラー。起こそうにも起こせない状況だった。
そそくさと部屋を退場して見なかったことにした。
「(よし、俺は何も見てねェ。そうだそうだ、別に何も……)」
記憶から先程見たことを見なかったことにして、隣にある神威の部屋へと移ったのだった。
「(別に部下の恋色沙汰やそこら辺に突っ込むことじゃねェよな。そっとしておこう)」
阿伏兎の目に入ったその光景。
それは着物の件から翌日の今日。Aの部屋に泊まった高杉を見てしまったからだ。しかもONEベッドに二人で寝ていたところを。
これが、大きな誤解の始まりだった。
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水渚桃華 - 七瀬未来さんへ まだ少ししか読んでないですがこの作品面白いです。更新待ってます。 (2020年2月20日 17時) (レス) id: 3a85905bbd (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:なな | 作成日時:2020年2月18日 19時