129話 厳密には、ね (たいっへんお待たせしました) ページ41
「え、なになになにAって乙名なの!?」
「あの村の!? 乙名!?」
「てか普通乙名ってもっと年長者がやるものじゃ!?」
などなど口々に話し、みんなが混乱しているのがとても分かりやすく伝わってくる。
ほんの少しの恨みをこめてちらりとお姉ちゃんを見るも、わざとらしく目を逸らされてしまった。
『ちが、誤解だよ。落ち着いて』
ため息交じりに沈静化を試みるも、
「誤解でもなんでもないでしょ。ちゃんと集会で決めたんだし」
というお姉ちゃんによる無慈悲な言葉によって徒労に終わった。
その時だった。
「失礼します」
と障子戸の向こう側から声がかけられる。
戸が開いたそこにいたのは土井先生で、
「学園長先生、如月さんが門のところで待っておられます」
と続ける。
「おぉ! もうそんな時間か。では、この部屋は自由に使ってよいからな。きっさらーぎさー−ん!!」
そう言って満面の笑みとルンルンスキップで門へと駆けていく学園長先生」
口をはさむ暇も隙もなく、私たちはただただポカンと口を開けて見送るしかなかった。
「あー…………この機会だし、みんなの疑問に答えていったらどうだ?」
土井先生が苦笑いでそうおっしゃって、手をヒラリと振って庵をあとにした。
それもそうね、とお姉ちゃんが呟いた。
みんなも賛成なようなので、どこから説明しようかと私は思考を巡らせる。
「とりあえず、Aはあの村の乙名なのか否かはっきりしてほしい!」
勘右衛門が真っすぐに手をあげる。
うんうん、と他の四人もそろって頷く。
『乙名ではないよ』
「ただし、厳密には、ね」
お姉ちゃんが余計な一言を付け加えてきた。
もう一度恨みがましい目で見ると、だってそうじゃないとでも言いたげな顔をされた。
もう少し解説プリーズ、と勘右衛門が今度は小さく手をあげる。
『……確かに乙名はたいてい年長者がなる。でもうちの村は少し特殊で……まぁともかく、元は私の父が乙名だったんだ。で、父亡き今もとより代理の任についていた私が今は業務の一部をやっているだけであって』
「あら、ちゃんと多数決とったじゃない。まだ殿に謁見する儀式が終わってないだけでしょ」
「ごめん! ぜんぜん分かんない! つまりほぼ乙名ってこと!?」
「そもそも代理の任って!?」
八左ヱ門と雷蔵が声をあげる。
見ると、みんなの顔には大混乱の三文字が書かれていた。
『あー……うん、よし。ならうちの村…………ハセイ村の成り立ちから説明しよう』
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炭火焼きりんご(プロフ) - あいさん» ひぃん暖かいお言葉ありがとうございます!私生活が落ち着きつつあるので、また更新頑張ります!なにとぞお付き合いを…… (2022年4月19日 19時) (レス) id: a094e8e677 (このIDを非表示/違反報告)
あい(プロフ) - これ面白いです!!! 作者さん無理のない範囲で頑張ってください☺️ (2022年4月19日 19時) (レス) id: 4bcda9126d (このIDを非表示/違反報告)
炭火焼きりんご(プロフ) - れなさん» ありがとうございますっ!!遅くなってしまいすみません_○/|_ そのお言葉が本当に励みになります。やっとこさ私生活が落ち着いてきたので、期待に応えられるよう更新頑張ります。本当にありがとうございます!しょもしょもしてた心の恩人です! (2022年4月19日 18時) (レス) id: a094e8e677 (このIDを非表示/違反報告)
れな(プロフ) - 最高に面白いです、、完結までついていきます!!更新楽しみにしています! (2022年3月6日 16時) (レス) id: 5c55cc0d78 (このIDを非表示/違反報告)
炭火焼きりんご(プロフ) - あいさん» ありがとうございます!!あいさんのそのお言葉が栄養分となります。なめさん更新ですが、何卒よろしくお願いします! (2022年1月20日 20時) (レス) id: a094e8e677 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:炭火焼きりんご | 作成日時:2021年4月25日 19時