118話 なんでこんなとこに ページ30
また元の位置に戻り、雷蔵に完了の合図を送る。
もうそろそろ屋敷の中にいる勘右衛門から第二段階移行の報があってもおかしくない時分だ。
その時だった。
『……!』
複数の気配がこちらに向かってきている。
くそっこの騒ぎの影響で気配を感じ取るのが遅れた。
人数は三人。うち二人は忍びの心得があるようだ。それも並大抵の実力ではない。
念のため、先ほどとはまた違う緊急用の合図を雷蔵に飛ばして気配の方へと木の上を移動する。
何本か渡り飛んだところで彼らの姿をみとめた。
罠でも仕掛けておくべきだったと少し後悔する。そうすれば時間稼ぎでもなんでもできたのに。
だがまあしかたない。
苦無を構える。
そして彼らの頭めがけて、一直線に踏み切った。
「!!」
「_____!」
「なっなんだなんだ!?」
一撃目はいち早く反応した奴の苦無によって弾かれた。
すぐさま後ろへと下がり距離をとる。
『…………ん?』 「お」 「は?」
忍び二人にどこか見覚えがあり第二撃を中止すると、どうやら二人も同じだったようで苦無の構える力が弱められた。
『なっ七松先輩? 潮江先輩??』
「Aじゃないか」
「なんでこんなとこにいるんだ?」
『それはこちらの台詞です。先輩方こそなんで……というか後ろの方は』
そこまで言ったところで私の背後からこちらに素早く接近してくる気配があった。
先輩も感じ取ったようで苦無を構えなおす。
でもこの気配は、
「A、僕も加勢っ……って、あれ? 先輩?」
雷蔵のものだ。
「で、あっちの騒ぎはなんなんだ?」
そう七松先輩が言い終わるのと同時に廃寺の方で爆発が起こる。
第二段階への移行か。
「あそこにいる山賊たちを三郎たちが」
「あー、あーなるほど。うん! とっとと潰しちゃっていいぞ! あと私と文次郎も参加していいか?」
「待ってください話に追い付けないです先ずは情報交換しませんか!?」
「よし小平太。こいつと、あと状況説明は任せた。俺は久々知たちの手助けに行ってくる」
「んなっ、ずるいぞ文次郎! 私だってまだ動き足りないんだ!」
先輩二人に置いてけぼりにされる雷蔵をよそに、私は先輩の後ろにいる縛られた人をチラと見る。
数瞬ほど考えを巡らせ、この人が誰か思い出した。
なぜこの人がこんなとこに……などというよりも、あぁなるほどという感想が先に出てきた。
だがまあ、先輩方のお話を聞くまではこの考えは保留しておこう。
260人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「忍たま」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
炭火焼きりんご(プロフ) - あいさん» ひぃん暖かいお言葉ありがとうございます!私生活が落ち着きつつあるので、また更新頑張ります!なにとぞお付き合いを…… (2022年4月19日 19時) (レス) id: a094e8e677 (このIDを非表示/違反報告)
あい(プロフ) - これ面白いです!!! 作者さん無理のない範囲で頑張ってください☺️ (2022年4月19日 19時) (レス) id: 4bcda9126d (このIDを非表示/違反報告)
炭火焼きりんご(プロフ) - れなさん» ありがとうございますっ!!遅くなってしまいすみません_○/|_ そのお言葉が本当に励みになります。やっとこさ私生活が落ち着いてきたので、期待に応えられるよう更新頑張ります。本当にありがとうございます!しょもしょもしてた心の恩人です! (2022年4月19日 18時) (レス) id: a094e8e677 (このIDを非表示/違反報告)
れな(プロフ) - 最高に面白いです、、完結までついていきます!!更新楽しみにしています! (2022年3月6日 16時) (レス) id: 5c55cc0d78 (このIDを非表示/違反報告)
炭火焼きりんご(プロフ) - あいさん» ありがとうございます!!あいさんのそのお言葉が栄養分となります。なめさん更新ですが、何卒よろしくお願いします! (2022年1月20日 20時) (レス) id: a094e8e677 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:炭火焼きりんご | 作成日時:2021年4月25日 19時