109話 まっさかーーー ページ21
「いや、僕らが聞き込みした子って、身内がお母さましかいらっしゃらない子でさ。しかもお母さまは昔から臥せっていて、家計も芳しくない上に薬も必要らしくて。……その子、村でも評判の献身な子だからさ……」
私たちは静かに雷蔵の次の言葉を待つ。
「だから、玉の輿にのってお母さん助けようって考えになってもおかしくないなーーなんて」
その雷蔵の考えと先ほどの質問がどこか嚙み合って無い気もするが、私たちはなんとなく言いたいことを理解した。
「あのさ……そのおまじないが失踪の原因ってことは……ないかな」
雷蔵がおそるおそるといった様子で、湯飲み両手で握りそこに目を落としながら言う。
しばらくの沈黙ののち、私たちは
「「「「『まっさかーーー』」」」」
と笑顔で否定した。
その笑顔は少し引きつっているうえ、笑い声もどこか乾いたものなのは、たぶんそれぞれ引っかかるものがあるからだろう。
「あー玉の輿といえば、どこかの城主様に見染められてそのまま連れてかれたっていう噂あったよ」
「あぁ、あと神隠しって噂もあったな」
『神隠しならうちのとこにもあったよ』
勘右衛門と兵助に続くと、再び沈黙が訪れる。
「あーあと! 十六の子はどうも親に無理やり婚約者をあてがわれてたみたいでね! しかも両想いの相手がいるんだけど、親には反対されて……て……」
無理に声を明るくした勘右衛門の声も、だんだんと萎れていく。
「一回試しにさ、それぞれの女の子がそのおまじないをやるとしたらどんな理由があるか、考えてみねぇ?」
八左ヱ門のその声に、いつもの明るさはなかった。
誰一人目を合わせることなく、ポツリポツリと考えつく理由をあげていく。
それも終わってみんな黙りこくる。お団子はいつからか一切減らずにそこにいた。
「ちょっと……おまじないとこの件の関連について、前向きに検討しませんか……?」
勘右衛門のその言葉に、私たちはただただ静かにうなずいた。
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炭火焼きりんご(プロフ) - あいさん» ひぃん暖かいお言葉ありがとうございます!私生活が落ち着きつつあるので、また更新頑張ります!なにとぞお付き合いを…… (2022年4月19日 19時) (レス) id: a094e8e677 (このIDを非表示/違反報告)
あい(プロフ) - これ面白いです!!! 作者さん無理のない範囲で頑張ってください☺️ (2022年4月19日 19時) (レス) id: 4bcda9126d (このIDを非表示/違反報告)
炭火焼きりんご(プロフ) - れなさん» ありがとうございますっ!!遅くなってしまいすみません_○/|_ そのお言葉が本当に励みになります。やっとこさ私生活が落ち着いてきたので、期待に応えられるよう更新頑張ります。本当にありがとうございます!しょもしょもしてた心の恩人です! (2022年4月19日 18時) (レス) id: a094e8e677 (このIDを非表示/違反報告)
れな(プロフ) - 最高に面白いです、、完結までついていきます!!更新楽しみにしています! (2022年3月6日 16時) (レス) id: 5c55cc0d78 (このIDを非表示/違反報告)
炭火焼きりんご(プロフ) - あいさん» ありがとうございます!!あいさんのそのお言葉が栄養分となります。なめさん更新ですが、何卒よろしくお願いします! (2022年1月20日 20時) (レス) id: a094e8e677 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:炭火焼きりんご | 作成日時:2021年4月25日 19時