105話 目的の村 ページ17
「……で、くじ引きの結果」
『この組み合わせになったね。よろしく、三郎』
「こちらこそ、お手柔らかに。っと、それから」
『あぁ。……アンケートのご協力、ありがとうございました！』
「ありがとうございましたっ！ ……話を元に戻そう」
目的の村へ道を二人で行く。
あまり人影がないのをいいことに、私たちは改めて情報を共有する。
私たちが担当する村の行方不明女性は二人。それぞれ十九と十五。共通点はこれまた「未婚」のみ。
十九の女性は一週間前の目撃が最後、十五の女性はつい三日前だ。
「まあでも、いい組み合わせになったんじゃないか？」
『あーそうだね。勘右衛門はコミュ力高いから相手が老若男女問わず情報収集とかスムーズだし、兵助は無自覚だけど若い女性の懐にはいりこむのが上手いから、今回のメインターゲットに向いてる。この二人のコンビは街での聞き込みにはもってこいのコンビだと思う』
「あぁ。八左ヱ門と雷蔵のコンビも問題ないだろう。雷蔵はご年配によく気に入られるし、八左ヱ門は、まぁ少し不安だが、根が明るいからな」
『あーー分かる』
そういえば、他は単なる組ごとの合わせになったんだな、なんてぼんやり考える。
事件の内容が内容だからか、それとも話すことがなくなったからなのか、お互いも黙々と歩みを進める。
日もそこそこ高くなっていて、村につく頃にはちょうどいい時間になっているだろう。
「……Aはさ、村に帰るのか」
三郎がおもむろに口を開いた。
とくに感情のない……でもどこか拗ねたような声。
『……いつかはね。まあ今の問題をなんとかしなきゃなんだけど』
「ソレ、思ったんだけど、Aがやることか？ 相手は城だろ？」
『んー、困ってる人がいるからね。ただ外部との交流を遮断して不気味なだけならよかったんだけど、ああも急に税を上げられるのは。実被害がでている以上、看過はできないかな。……これ以上悪化したら、すぐに動くよ』
「……へぇ」
『まあ一介の忍びができることなんて限られてるし、細かいこととか考えてないけど』
三郎のふぅんという返事の後、再び沈黙が訪れる。
本当は私情でこの忍びの技術を使って政治に干渉するのは褒められたものじゃない。
ただ城が気に入らないなら出ていけばいいだけだ。
それでも、先祖より繋がれてきた縁が、他の村の人たちの不安そうな顔が、私を村へ引きとめる。
そしてようやく見えてきた目的の村を見て、私は気持ちを今一度引き締めた。
「さあ、始めようか」
『あぁ』
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炭火焼きりんご(プロフ) - あいさん» ひぃん暖かいお言葉ありがとうございます！私生活が落ち着きつつあるので、また更新頑張ります！なにとぞお付き合いを…… (2022年4月19日 19時) (
レス) id: a094e8e677 (このIDを非表示/違反報告)
あい(プロフ) - これ面白いです！！！ 作者さん無理のない範囲で頑張ってください☺️ (2022年4月19日 19時) (レス) id: 4bcda9126d (このIDを非表示/違反報告)
炭火焼きりんご(プロフ) - れなさん» ありがとうございますっ！！遅くなってしまいすみません＿○／|＿ そのお言葉が本当に励みになります。やっとこさ私生活が落ち着いてきたので、期待に応えられるよう更新頑張ります。本当にありがとうございます！しょもしょもしてた心の恩人です！ (2022年4月19日 18時) (レス) id: a094e8e677 (このIDを非表示/違反報告)
れな(プロフ) - 最高に面白いです、、完結までついていきます！！更新楽しみにしています！ (2022年3月6日 16時) (レス) id: 5c55cc0d78 (このIDを非表示/違反報告)
炭火焼きりんご(プロフ) - あいさん» ありがとうございます！！あいさんのそのお言葉が栄養分となります。なめさん更新ですが、何卒よろしくお願いします！ (2022年1月20日 20時) (レス) id: a094e8e677 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：炭火焼きりんご | 作成日時：2021年4月25日 19時
