ひよこのしょうちゃんと78個のたまご ページ27
＊
ボクが殻を破っておもてに出た時、周りには78個のたまごがあって、隣のひと部屋はからっぽ。つまりはひとりぼっち。
「隣のこもおかあさんもどこ行ってもうたんやろ？」
しばらくはキョロキョロ探してみたけど全然見付かれへん。
「ふぁ〜あ〜あぁ…」
それにしても、陽射しがやわらかくて気持ちいいなぁ…。
慌てたってしょうがないしもうひと眠りしようかなー、、、
『コツコツコツ！、コツコツコツコツコツコツ！！』
「Σ！！」
前のお部屋のたまごが動き出した！！
『コツコツコツコツ！！ボコッ！』
ほわぁ！くちばしが出た！ボクのおとうとが生まれるんや！
「がんばれっ！がんばれー！！もうちょっとやよー！」
『コツコツコツ、コーーーン！、、、…ふぅ。やれやれ』
出てきたんは、眩しいくらい真っ黄色でタレ目のひよこ。
「こ、こんにちはぁ///」
『お前、ダレ？おかん？』
「ち、ちがう。多分兄弟(汗)」
『アニキ？…となりの空室は？』
「さぁ？ボクが生まれた時にはもうおらんかったし」
『どっか行ったん？…あ。向こうに暑苦しいくらいオレンジのヤツおるけど、アイツちゃう？』
ホンマや！風見鶏に向かってギャーギャー騒いでるひよこがおる！
『…うるさそうやし、知らん顔してた方がええな』
「そ、そやねぇ(汗)」
『ほいじゃ、俺はひとっ風呂浴びに行ってくるわ』
「え？！」
『産湯ってやつ？…ベタベタでキショいし。じゃーなー、アニキ２号〜』
「あ、あ…う、うん」
どっこいしょっと部屋から飛び出した黄色いひよこも、おしゃべりなオレンジのひよこもそのまま帰ってこず、ボクはまたひとりぼっちになってしまった。
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作者名：青菜はやと
| 作者ホームページ：
作成日時：2020年12月5日 2時
