8UPPERSのセカイ（eight） (ページ21)

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21 jackyのセカイページ21

『はぁー』

…またや。

今日はカウンターにおひとりさまがおる。

だいたい、カウンターに客がおるんも珍しいねん。いつもなら俺の料理を茶化しに来るか、ジョニーに色目を使う客しか寄り付かへんねんから。

それやのに、この女は入って来た途端にカウンターに座り、地蔵みたいにジーっとしてただただため息をつくばかり

これにはトッポも参ったんか、食事が終わると早々に退散した

『はぁー』

…はぁー、はコッチやで。

今日に限って客が少ないからオーダーこんし、トッポにも逃げられたし…、ヒマやから気になってしゃーないやんっ

「ジャッキー？」

「あ？！なんや？ジョニー」

「顔…、怖なってるから」

言いながら出してきたカクテルに口をつけると案の定甘くて

「ゔえっ」

…余計に顔怖なってんちゃうか？！

「すまん、ジョニー。これパス」

「…そか。」

「ボトルキープしてるアレ、ロックでもらえるか？」

「………アレ、ね、、」

俺がそれを頼むとジョニーは嫌がる。理由は言わんけど、店に似つかわしくないからやろ。しかしやな、こんな商売やってたら無性に欲しなることがままあるんやて

「はい」

「お、すまん」

おー、おー、ダブルウォールのグラスに入れよったんか。

「ん？」

…ロックや言うたんに、クラッシュロックやんけ。しかもミント入れとる。この店ではなんでもお洒落にって事か？

横目でジョニーを睨んで

「ジョニーも良かったら」

「いえ、結構」

…営業スマイルで返しよった。ちぇっ、

『はぁー』

…くっ、またか？！

「お客さん？！」

『え？』

「ちょ、ジャッキー」

なんや？肘こついたりして。やめとけやって言うんか？…いや、俺はやめへんで！

「何をさっきからため息ばっかりついてるんや？」

『…あ、すいません。わたし、そんなにため息ついてましたか？』

無自覚かい！！

「…いいんですよ。皆さん色々抱えて呑みに来てくださるんですから。おかわりいかがですか？」

…な、なんやねんジョニー。邪魔すんなやっ