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その一ヶ月後、
ある中学の焼却炉が、始業のチャイムと同時に吹っ飛ぶ様子を、路駐した車の中から眺めていた。
「…トッポ、火薬の量間違えた？」
「失礼な」
助手席でゲームを興じているトッポは、自分が作った爆破装置にはさして興味がないご様子で、
「…まぁ、サービスって事でええんちゃうか？」
運転をかって出てくれたジャッキーは、苦笑いを浮かべている。
「さ、校庭に停めてた観光バスが退避して来たし、車移動させるで？」
「うん。見納めたし、もうええわ。帰ろう」
車はそっとUターンをきり、騒動とは逆の方向へ
すれ違うのは、パトカーに、消防車に、…救急車？
「やっぱり、やり過ぎたんちゃう？トッポ」
「…あれくらいせな、自分の愚かさがわからんやろ」
「ありゃ、珍しく怒ってる」
その時
「わ！危ないっ！！」
身体が持って行かれるほどのブレーキと
「こんなとこで飛び出して来て、死にたいんか、コラー！」
ジャッキーの怒鳴り声にびっくりして前を向くと
あの女の子が車道の真ん中で立ち尽くしている。
「え、なんで？！なんでこんな所に居るん？」
修学旅行に行くために、バスに乗り込んだんやないの？？
「…あれが、例の女の子？」
ズレたメガネを直しながらトッポが聞くから、そう。って答えると
「ガムの気も知らんと、結局怖くなって逃げたんやん？」
「休んだって事？」
「そう。…だいたい行きなくないなら初めからみんなを巻き込まないでそうすれば良かっただけやん？」
「トッポの言う通りやで。…それに、コレであの子も多かれ少なかれ疑われるやろうしな」
「…そうやね」
なんてったって、休んでるねんから。
あーあ…。
「ま、ガムが落ち込んでもしゃーない」
「そうそう。あの子は夢が叶ったんやから、良かったやん？」
「夢、…ねぇ」
悲壮な顔で学校に向かう君は何を思うのか
「人の不幸の上に立っても幸せにはなれないし、それどころか足元の人よりも不幸を背負う事になるんだよ？」
それなら、苦労を買ってでもみんなで幸せになる方法を探した方がいいって、身を持ってわかってくれたなら、まだ救われるのにな
「ガム？」
「なに？トッポ」
「帰ったら、一緒にネコ探しに行こう」
「…うん///」
君にも支えてくれる友達が出来る事を心から願うよ
end
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作者名：青菜はやと
| 作者ホームページ：
作成日時：2018年10月5日 22時
