我、破壊神ノ末裔ナリ ページ2
オレが今居るのは、真っ暗な冷たい部屋
水の落ちる音がずっと聞こえてくる
ピチャンピチャンと心の底から独りなのだと思い知らされる音
村人達は、オレが“破壊神の末裔”だということでここに閉じこめた
オレを産んだ母と父は、そんなくだらない理由で
身勝手な村人共に殺されてしまった
先日、村で見慣れない男が来た
そいつが、その破壊神の名前を教えてくれた
確か別世界の破壊神で──“ジガルデ”と言うらしい
そいつは破壊神でありながら、怪物の姿をしていたらしい
オレには関係の無いことだと言うのに
今すぐにでも此処から抜け出したい
こんな場所は、嫌いだ
僅かに入ってくる陽の光は、オレを拒むかのようにとても遠い
ジガルデという怪物の姿を、その男から聞いた
自分を制御する“コア”とそれを増幅させる“セル”
それを使って姿を変えて、世界の破壊を繰り返したらしい
別世界の話だからお伽噺に近いのかもしれない
力を抑えている時は犬のような
力を半分使う時は蛇のような
そして、力を出し惜しみせず全て使う時は人のような
力の加減によって姿を変えて破壊活動を続けていたらしい
もしオレに、そんな力があるなら今すぐ使ってやろう
そんな小さな思い付きだった
オレは閉じ込めている冷たく長い、硬い棒を二本掴んだ
オレが通れるほどの隙間が出来れば良かった
それなのに──
ガシャンと気持ち悪いような音を出して、冷たい棒はグニャリと曲がった
「……これで、出れるな」
村人は足を守る布を付けていたが、オレにはない
素足のまま、此処を出てしまおう
村人に見付かると厄介だから、村を“壊す”？
いやそしたら母と父はどうする……？
いくら殺されたとはいえ、オレの大切な人達だ
オレのせいで死んだと言っても変わらんが
……いいや、もうどうだっていい
「全て壊そう
邪魔になるもの全て……」
オレは力を出し惜しみせずに村を破壊した
そして、人目のつかない森へと向かった
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