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翌日──満月の夜、つまりは海底神殿への出発の日。その日まで形にならなかった水中の移動魔法を根性で作り上げたノエルとその補助トワ君の二人が作り出す"海竜の揺り篭"を今発動させようという時だった。
皆……特にヤミ団長にプレッシャーをかけられつつも魔法を発動。大きな水球の中は随分と広く全員を乗せてくれた。
｢キャ〜〜〜！すごぉーい！｣
｢海の中進んでるぞォーー！｣
海の中へと突っ込めば、そこはもう普段とは全くの別世界。子供でなくてもそりゃテンション上がる。
キャラキャラと皆が笑ってあちこちを見回していると、漸く最初の難関であるソレが目に入った。
｢うおお！何だありゃーー！？｣
｢強魔地帯への入口だ！｣
『あのバカでかい渦が……』
｢これで弱まってんのかよ！とんでもねーな強魔地帯……！｣
何重にも渦巻く、竜巻のようなモノが行く手を阻んでいる。満月の夜のみこれの勢いが弱まり、海底神殿に行けるかもしれないと調べたのはヤミ団長だが、それにしたって結構な強さだ。
ノエルとトワ君は真剣な表情をして前を向いている。今は下手に手を出すより、二人を信じてここで黙って見ているのが良いんだろう。
｢うおおおおぉノエ公オメーコレ大丈夫だろォなああ！？｣
｢あ、マグナビビってるでしょ？｣
｢だだだ誰がビビるかコラァァ｣
『めっちゃ動揺してんじゃん、ウケる』
｢コココラおまハク！誰が動揺して｣
｢してんじゃん、思いっきり｣
くっそビビってるマグナをラックと弄りつつ、渦の氣なんかを探る。少しずつではあるが勢いがおさまってきている。ノエル達も凄い集中力で魔法を維持している。きっと大丈夫だ。それはそうと横でノエル達に声援を送るアスタとチャーミー先輩の声がデカい。あ、｢ちょっと黙ってなさい！集中出来ないでしょ！｣とノエルに怒られた。
｢──……
勢いが弱まってきたわ！｣
｢ここを越えれば……！｣
魔法を操る二人の声に、全員が前方に注目する。そして、渦の帯が段々と海に飲まれていった時。そこに広がっていたのは。
｢うおおおおーーー！｣
｢キレ〜〜〜〜〜！｣
｢すげえええ！｣
僅かに射す光に照らされる数々の生き物達。強魔地帯を抜けた、穏やかな海で見たことも無い魚達が悠々と泳いでいる。
森や川とはまた違った神秘的な風景が目にいっぱい映った。
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作者名：白璢 | 作成日時：2022年1月1日 20時
