#108 紫蘭 ページ8
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『それにしても…よかったね、ハンジ。』
「あははッ…ありがとう。
自分でも驚いてるよ、まさかこんなことが起こるなんて……私の片想いだと思ってたのになぁ。」
『私は知ってたよ?
モブリットも、ハンジのことが好きだってね。』
「ええぇッ!?」
─モブリットが二ファに呼ばれて部屋を出ていってしまい、私とAは二人で話していた。
珈琲を飲みながら。
あれ、これ噂の『女子会』っぽくね?
そう今になって思うのは、今まではAとこういう話をしてこなかったからだろうと思う。
恋愛ってすごいね。
その存在だけで『普通』が『女子会』に発展する。
『気づいてないのは…本人達くらい?
多分、エルヴィンとかリヴァイも知ってるよ。』
「そッ、そうだったのッ…!?」
『ハンジ、鈍いからねぇ。』
いやいや、アンタも人のこと言えないよ!
ニヤニヤとしながら私を見るAに思わず心で叫ぶが、私が口に出せるのはいつのことになるやら…。
…まぁ、エルヴィンにも言えるんだけど。
「…Aとこういう話するのって新鮮だよ。」
『そうだね…あんまりしたことないよね。』
「それこそ、Aがエルヴィンのことで泣いてた時が初めてだったもんねぇ…。」
『あはは、そうかも。』
─珈琲を飲みながら視線を横にそらしたAを私は見逃さず、今度は私の方から問いかける。
飲みかけの珈琲をテーブルの上に置いた。
「Aは…今後どうするんだい?」
『……?どうって?』
「エルヴィンとリヴァイのことだよ。
…気持ちは少しは落ち着いた?」
『……うん。』
─もうすぐお昼が来ようとしている時間。
珈琲の入ったカップをその手で包むAは、何か大事なものを触るような優しい手つきだった。
Aは窓の外に目をやって、ぽつりと呟く。
『…忘れるのも難しいんだね。』
「…無理して忘れなくていいってことじゃない?
ほら、リヴァイなんてしぶといでしょ?」
『あははっ、しぶといって……』
「Aもリヴァイみたいでいいんだよ!」
『………。』
「…でも、リヴァイへの返事はどうするの?」
『……嬉しかったんだ。
リヴァイが、ずっと私を好きでいてくれて。
告白されて戸惑ったけれど、私が中途半端な間も、リヴァイはずっと優しくてさ。』
「……うん。」
相槌を打つ私に、Aは目を合わせて微笑んだ。
『だから、リヴァイとは……』
紫蘭の花言葉、私はあなたを見守ってるよ。
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氷飴(プロフ) - レンさん» コメントありがとうございます!(今私も調べてきたのですが、レンさんのおっしゃる通り“独占欲“って出てきました(ºωº`*))このお話を書いた時も調べていたつもりだったのですが、なぜか“執着”に……。教えていただきありがとうございます!(*´ω`*) (2020年4月25日 19時) (レス) id: 9625751614 (このIDを非表示/違反報告)
レン(プロフ) - ネックレスって独占欲っていう意味持ってるんですよ! (2020年4月25日 19時) (レス) id: 784374d164 (このIDを非表示/違反報告)
氷飴(プロフ) - にんじんさん» 一応、両想いになった後の続きも作りたいと思っているのですが…まだ考えがまとまっていない最中だったりします(´・ω・`) (2017年12月11日 12時) (レス) id: 885b609761 (このIDを非表示/違反報告)
にんじん - この物語はこれで終わりですか?(´・ω・`) (2017年12月10日 23時) (レス) id: 1018656ff9 (このIDを非表示/違反報告)
氷飴(プロフ) - 京 鏡さん» そっ、そんな風に言ってもらえるなんて…思ってもみなかったよ!とても嬉しいッ!ありがとう!!頑張ります!!((o(*>ω<*)o)) (2017年11月3日 19時) (レス) id: 885b609761 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:氷飴 | 作成日時:2017年11月3日 19時