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「…だ、そうだ。
お前の親友だろ、早く行け。」
『ちょ、リヴァイ、押さないで!
ミケはなんで事前に言ってくれないの…!?』
「……フンッ。
いや、言いに行こうとはしたんだが、お前は近頃ずっとエルヴィンといるからだな…。
Aに近づくとエルヴィンに殺されるかと。」
『何その無理矢理な理由…理不尽だ!』
「…半殺し程度にしておいてやろう、ミケ。」
『半殺しなの?否定するとこじゃないの?』
「ぷっ、あはははははッ!
ひぃ、ひぃ…ちょ、お腹いった!あはは!」
「…まぁ、行っておいで。」
そう微笑んでエルヴィンに言われたAは少し赤くなって、私達の前まで歩き、私の顔を見て唸る。
そんなAにミケが涼しい顔で言った。
「あ、お前を指名したのはハンジだぞ。」
「そうそうッ!
やっぱりAから一言貰いたいな〜ってモブリットとも話しててね!」
『モブリットまで…!?』
「ははっ、すみません…Aさん。
いろいろとお世話になったので…ハンジさんの言う通り、自分もAさんがいいなと…。」
『うっ……。』
その言葉が決め手になったのだろうか。
Aは観念したような顔でしばらく悩んでいたが…やがて私達を見上げた。
透き通った声で、ぽつりぽつりと呟くように。
『…私は昔…憲兵でした。
ここに連れてきてくれたのはハンジでした。
街で、空腹で倒れてたハンジと出会った。
ハンジは当時から巨人マニアで…自分のことを疎かにする人で、危なっかしくて…心配だった。
でも、モブリットがその時から…ずっと今まで、いつでもハンジを助けようとしてくれた。
今となっては……それもハンジが好きなゆえだったのかなぁって、思います。』
「…あの時はAがドーナツくれたから、あれ以来…すっかりドーナツが好物だよッ!」
Aは笑って、『はいはい、珈琲味のドーナツでしょ?』って言葉を続けた。
『えっとね…。
そんな二人だから、心配はしていない!』
「えぇ!?心配してッ!心配!!」
『……でもね、ハンジ。』
「…ん?」
『ハンジは…私の親友だけど、調査兵団に来てから、家族みたいな存在でもあるの。』
「……ッ、えっ……」
『だからね……二人で幸せになってください。
心配していないのは本心だけど…あなたの親友として、誰よりもハンジの幸福を願ってる。』
そう微笑んだ私の親友は……あぁ、きっとこれは、誰よりも優しい笑みだと、私は思った。
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氷飴(プロフ) - レンさん» コメントありがとうございます!(今私も調べてきたのですが、レンさんのおっしゃる通り“独占欲“って出てきました(ºωº`*))このお話を書いた時も調べていたつもりだったのですが、なぜか“執着”に……。教えていただきありがとうございます!(*´ω`*) (2020年4月25日 19時) (レス) id: 9625751614 (このIDを非表示/違反報告)
レン(プロフ) - ネックレスって独占欲っていう意味持ってるんですよ! (2020年4月25日 19時) (レス) id: 784374d164 (このIDを非表示/違反報告)
氷飴(プロフ) - にんじんさん» 一応、両想いになった後の続きも作りたいと思っているのですが…まだ考えがまとまっていない最中だったりします(´・ω・`) (2017年12月11日 12時) (レス) id: 885b609761 (このIDを非表示/違反報告)
にんじん - この物語はこれで終わりですか?(´・ω・`) (2017年12月10日 23時) (レス) id: 1018656ff9 (このIDを非表示/違反報告)
氷飴(プロフ) - 京 鏡さん» そっ、そんな風に言ってもらえるなんて…思ってもみなかったよ!とても嬉しいッ!ありがとう!!頑張ります!!((o(*>ω<*)o)) (2017年11月3日 19時) (レス) id: 885b609761 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:氷飴 | 作成日時:2017年11月3日 19時