#143 ▽ ページ43
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「……リヴァイ。
知っているなら、Aから離れてくれないか?」
「…チッ。来い、A。」
『えっ…ちょ、まっ……!』
リヴァイは私の腕を痛いくらいに引き、エルヴィンの前で私の指を見せて、睨みつけた。
『なんで見せるの!?』と焦ったのも束の間、リヴァイは低い声で私の言葉を遮る。
「さっき、テメェの散らかしたもんを片づけようとしてケガした指だ、理解できるよな?
傷が深い、テメェが手当てしろ。
……あぁ、そうだ、俺は言ったよな。
もうAのことを泣かせるんじゃねぇって。」
『待って、リヴァイ…もういいから……』
「…あのなぁ、エルヴィン。
テメェがくだらねぇ意地張ってる間にも、俺だって、俺自身やテメェが嫌になってしょうがねぇ。
テメェみたいなのがAに触れるのが嫌だ。
俺みてぇな我儘な奴に、自分の大事なもんは奪られたくねぇよなぁ……クソ野郎。」
─リヴァイは最後に舌打ちして、団長室を出て行く。
私はその背中につい名前を呼んだが、リヴァイの次はエルヴィンに言葉を遮られた。
「手当てしようか、A。」
あれ…私の言葉はどこにいったんだろう。
さっきの泣きたさも怒りたさも、あなたに優しく手を引かれるだけで終わってしまう。
当たり前みたいにソファーに促されて、当たり前みたいに触られて嬉しいのは……あなたを好きであるからとしか、思えない。
『……不器用ですね、包帯。』
「…いつもよりも…できそうにない。
傷つけてすまなかった。」
『……バカじゃ、ないですか。』
あなたの目を見れなくて、私は指先の包帯だけ見つめて、やりきれない言葉をぶつける。
『なんで、なんで…ですか…?
こんなに当たり前みたいに触ってくれるのに、それだけで…戻れるのに……なんで…?
そんなに…私が嫌だったんですか…?
…そん、なに……。
私はもう、嫌われたかと……怖かった、のに……』
─あぁ、ダメだ、堪えられない。
私だってバカなのに、涙が止まらなくなって、言葉まで止まらなくなって、それでもまだ怖くて。
『…汚れてないのに…着替えに行った。
クマはできてるしっ、ペンが折れてた…ケガしたのかと思った、なのに、心配するなと…?
ただ、あなたが好きなだけ……で。
…それが理由じゃダメなんですかっ…?』
「……A。」
今名前を呼んでするキスは卑怯だと思う。
あなたはとことん卑怯で、酷い。
けれど…怖いと思ったのはそんなことじゃなくて。
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氷飴(プロフ) - レンさん» コメントありがとうございます!(今私も調べてきたのですが、レンさんのおっしゃる通り“独占欲“って出てきました(ºωº`*))このお話を書いた時も調べていたつもりだったのですが、なぜか“執着”に……。教えていただきありがとうございます!(*´ω`*) (2020年4月25日 19時) (レス) id: 9625751614 (このIDを非表示/違反報告)
レン(プロフ) - ネックレスって独占欲っていう意味持ってるんですよ! (2020年4月25日 19時) (レス) id: 784374d164 (このIDを非表示/違反報告)
氷飴(プロフ) - にんじんさん» 一応、両想いになった後の続きも作りたいと思っているのですが…まだ考えがまとまっていない最中だったりします(´・ω・`) (2017年12月11日 12時) (レス) id: 885b609761 (このIDを非表示/違反報告)
にんじん - この物語はこれで終わりですか?(´・ω・`) (2017年12月10日 23時) (レス) id: 1018656ff9 (このIDを非表示/違反報告)
氷飴(プロフ) - 京 鏡さん» そっ、そんな風に言ってもらえるなんて…思ってもみなかったよ!とても嬉しいッ!ありがとう!!頑張ります!!((o(*>ω<*)o)) (2017年11月3日 19時) (レス) id: 885b609761 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:氷飴 | 作成日時:2017年11月3日 19時