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『なんとなくさ…見てて知ってたよ。
本人から聞かなくても、ハンジはモブリットのことが好きなんだなぁ…って、ね?
わりかし長い付き合いになるけど、他の誰かと付き合ってるなんて聞いたこともないし…好きな人がいた素振りもなかった。
…ハンジにとってさ?
特別なのはモブリットだけなんだよ。』
「……ッ、自分、だけ…ですか?」
『ふふっ、そうそう。
ハンジの気持ちを信じてあげて?
それと、もっと自分に自信を持って。
確かにハンジは変人だけど美人だし、優しいし、他にハンジを好きな人はいるかもしれないけど…ハンジにはモブリットだけなんだから。』
「……は、い……。」
そう言うと、彼はようやく珈琲に口をつけた。
─その瞬間、ふいに、ぽろっと。
ゆっくりと頷いたモブリットの頬に涙がつたうのを目の当たりにし、私は視界を疑う。
『…えっ、モブリット…?』
「あ、す、すみません!
なんだか…あの、安堵してしまって…ッ!」
『随分と…気負ってたんだね。』
彼から正面の席を立ち、彼の隣に腰かける。
その背中をなでながら『ハンジは幸せ者だなぁ』と呟くと、彼は『すみません』と繰り返して目を擦った。
モブリットの目元が少し赤くなった頃、『落ち着いた?』と聞くと、彼は私に頷く。
「…す、すみません、本当に…。
まさか自分でも泣いてしまう、とは……」
『あははっ、いいよ。
それよりさ、ハンジの親友としてお願い。
これからもあの危なっかしい子をよろしくね?
それと…ハンジを好きになってくれてありがとう。』
微笑んで、その顔を覗き込んだ。
するとモブリットは一瞬だけ顔を赤く染めて、照れくさそうに笑って私に言った。
「ははっ…こちらこそ!
ハンジさんの親友がAさんで…嬉しいです。
これからもハンジさんをお願いします。」
『うんっ、よろしくね!』
なんて…言って、改まって握手する私達。
喫茶店で泣いて結託する私達に、周囲の目が集まっているような…まぁいい、モブリットの笑顔が見れたからね。
『あ…そうだ、モブリット?
あなたの精神を安定させつつ、ハンジの周りを牽制できる一石二鳥な方法を思いついたよ。』
「そ、それは一体ッ!!」
─ガツンッ!
と、その瞬間大きな音が響いた。
私の言葉に突然前のめりに身を乗りだしたモブリットと、私の額がぶつかった音である。
『い、いったぁ…!?』
「…ッ!!?
す、すみません!すみません!」
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氷飴(プロフ) - レンさん» コメントありがとうございます!(今私も調べてきたのですが、レンさんのおっしゃる通り“独占欲“って出てきました(ºωº`*))このお話を書いた時も調べていたつもりだったのですが、なぜか“執着”に……。教えていただきありがとうございます!(*´ω`*) (2020年4月25日 19時) (レス) id: 9625751614 (このIDを非表示/違反報告)
レン(プロフ) - ネックレスって独占欲っていう意味持ってるんですよ! (2020年4月25日 19時) (レス) id: 784374d164 (このIDを非表示/違反報告)
氷飴(プロフ) - にんじんさん» 一応、両想いになった後の続きも作りたいと思っているのですが…まだ考えがまとまっていない最中だったりします(´・ω・`) (2017年12月11日 12時) (レス) id: 885b609761 (このIDを非表示/違反報告)
にんじん - この物語はこれで終わりですか?(´・ω・`) (2017年12月10日 23時) (レス) id: 1018656ff9 (このIDを非表示/違反報告)
氷飴(プロフ) - 京 鏡さん» そっ、そんな風に言ってもらえるなんて…思ってもみなかったよ!とても嬉しいッ!ありがとう!!頑張ります!!((o(*>ω<*)o)) (2017年11月3日 19時) (レス) id: 885b609761 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:氷飴 | 作成日時:2017年11月3日 19時